マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

「黄色い声」と「五色の声」

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仕事でイベントに参加していたのですが、特別ゲストにお笑い芸人が来ていました。

舞台に登場すると同時に、会場からは「キャー」という黄色い歓声があがり、ネタもウケまくっていました。

私は会場から少し離れた場所にいたので、歓声が大きすぎてネタがほとんど聞き取れませんでしたが。

ただ、「キャーキャー」という甲高い声援を受けて、芸人さんはとても嬉しそうだったのが印象的でした。

今回は、声の色について書いてみます。

 

 

 

 

声と色

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「黄色い声」や「黄色い声援」という言葉がありますが、声は目に見えないものなのに、色がついているのが不思議な気がします。

黄色い声という言葉を使う場合は、一般的に若い女性の歓声など、甲高くて鋭い声の事を指す際に使います。

声に「黄色」という色がつくようになったのには、様々な説があります。

 

甲高い声が、黄色を連想させるから

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音の印象を色で表すと、高音は黄色などの明るい目立つ色に、低温は赤や青などの濃い色になるという説です。

女性の歓声は高音で、目立つから黄色が使われるようになったという説です。

 

金属がこすり合わさった音

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文字の成り立ちや使われ方から、金と黄には共通点がありました。

「黄金」という言葉もあるように、金と黄は似た使われ方をすることが多くありました。

金属がこすり合わさった際に「キー」と鳴る甲高い音が、女性の歓声に似ているから黄色が使われるようになったという説です。

 

経典の一番高い音に黄色で印をつけていたから

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古代中国では、仏教の経典にい色で印をつける習慣がありました。

これは「声明」と呼ばれており、お経のメロディーの高低を示すのに、音符ではなく色で印がつけられていました。

当時、黄色が一番高い音を示す色だったとされています。

 

黄色や白い声

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江戸時代に書かれた滑稽本『浮世風呂』に、「黄色な声や白つ声で、湯の中を五色にする」と書かれた部分があります。

これは、風呂の中で声を張り上げ、歌を歌っている様子を表した部分です。

この台詞前に「気の利かねえ治朗どもめ」という文章があります。

気の利かねえ治朗どもめ、黄色な声や白つ声で、湯の中を五色にしやがる

当時は女性の声だけでなく、男性の声につても「黄色い」と表現していたようです。

 

黄色い声は褒め言葉ではないのか

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『浮世風呂』に書かれた「黄色い声」が使われた一文は、前後の文章から相手を褒めているわけではないことが読み取れます。

うまくもない歌を、いい気になって歌っているのが耳障りだ、という意味の文章です。

実際に、「黄色い」という言葉は、芸事においては

「未熟である」

「劣っている」

という意味で使われることがあります。

辞書にも、「黄色い声」には未熟さや耳障りという意味が含まれていると書かれています。

 

声色と五行思想

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「声色」という言葉があります。

調べてみたら、この言葉は室町時代から使われていた言葉でした。

先に挙げた『浮世風呂』では、黄色な声や白つ声など、声には全部で5色の色があると書き残されています。

日本では昔から、五行思想という考え方がありました。

この五行思想では、白・黒・赤・黄・緑が五色とされ、それぞれ方角を示すものでもありました。

東が緑、西が白、南が赤、北が黒です。

黄色は中央を示す色でした。

また、仏教においても如来の精神や智慧を5つの色で表してきました。

仏教で使われていたのは、青・黄・赤・白・黒が基本の五色とされていましたが、青と黒の代わりに紫や緑を含める場合もありました。

こうした思想が元になり、江戸時代に声に色をつけて表現するのが流行したと考えられています。

江戸時代に流行した五色の声について調べてみたのですが、使われた5つの色やその意味は書物ごとに様々で、統一されたものではありませんでした。

現在は「黄色い声」という使い方くらいしか残っていませんが、これは声に色をつけて意味を表現することが流行した時代の名残なのかもしれません。

 

 

 

参考文献

浮世風呂;戯場粋言幕の外;大千世界楽屋探 (新 日本古典文学大系)

深読み浮世風呂

日本古典文学大系〈第63〉浮世風呂 (1957年)

声明辞典―声明大系特別付録

読経道の研究