マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

童謡「赤とんぼ」で、赤とんぼは何に「おわれてみた」のか

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小学3年生と5年生の娘の自宅学習用に、『教科書ぴったりテスト』という問題集を使っています。

 

教科書ぴったりテスト大日本理科3年

教科書ぴったりテスト大日本理科3年

 

 

学校で使っている教科書に準拠した問題集なので、自宅での予習復習に重宝しています。

今日も娘と一緒に問題集を進めていたのですが、小学3年生の理科の問題で、「次の写真の昆虫や植物の名前を書いてみましょう」というものがありました。

トンボやホトケノザの写真が載っていたのですが、ホトケノザの写真は、大人が見てもその名前は出てこない気がしました。

自宅で植物を育てたり、熱帯魚を飼っていることもあり、娘は理科が得意科目のようです。

教科書ぴったりテストの学習が終わってから、娘はトンボの写真を見ながら「赤とんぼ」を歌い始め、終始ご機嫌な様子でした。

そんな娘から、「今度の土曜日、赤とんぼを追いかけに行きたい」とリクエストされたので、赤とんぼが飛んでいる季節や童謡の意味について説明してみました。

今回は、童謡「赤とんぼ」について書いてみます。

 

 

 

 

童謡の歌詞

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童謡は、文語で書かれているものがたくさんあります。

そのため、歌詞の意味が分からず歌っているものや、勘違いして歌っているものがたくさんある気がします。

意味が分からなかったり、勘違いしてしまう最大の理由は、歌詞を読んで覚える前に耳で覚えるからだと思います。

 

赤とんぼの歌詞

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童謡「赤とんぼ」は、1927年に三木露風が作詞し、山田耕作が作曲した歌です。

この曲の歌詞を全てひらがなで書くと

ゆうやけこやけのあかとんぼ

おわれてみたのはいつのひか

 

やまのはたけのくわのみを

おかごにつんだはまぼろしか

 

じゅうごでねえやはよねみゆき

おさとのたよりもたえはてた

 

ゆうやけこやけのあかとんぼ

とまっているよさおのさき

 となります。

 

おわれてみたのはいつのひか

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赤とんぼの1番の歌詞で「おわれてみたのはいつのひか」という部分があります。

これを

「追われてみたのはいつの日か」

という字を宛ててしまうと、「赤とんぼが誰かに追われたのはいつだったんだろう」という意味になってしまいます。

2番、3番の歌詞でも

「おかごにつんだは」

「おさとのたよりも」

といった、子どもが耳で聞いただけで理解するには少し難しい部分があります。

 

赤とんぼの歌詞を漢字で書いてみた

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三木露風が作詞した歌詞は、次のようなものでした。

夕やけこやけの赤とんぼ

負われて見たのはいつの日か

 

山の畑の桑の実を

おかごにつんだは幻か

 

15でねえやは嫁に行き

お里の便りも絶え果てた

 

夕やけこやけの赤とんぼ

とまっているよさおの先

 

 

歌詞の解釈

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本来の歌詞では、「追われて見たのは」ではなく「負われて見たのは」になっています。

1番から4番までの歌詞を全て読んだ上で「負われて見たのは」を解釈すると、次のような意味になると思います。

幼い子ども(主人公)が、ねえや(子守をしていた若い女性)に負われて(おんぶされて)、赤とんぼを見たのはいつだったんだろう。

山の畑にあった桑の実を、籠に摘んだ記憶は、幻だったんだろうか。

ねえやは15歳でお嫁に行ってしまい、その後ねえやの実家からの便りは全くない。

そんなことを、真っ赤な夕やけ空と竿の先にとまっている赤とんぼを見て、思い出してしまった。

 という解釈になると思います。

 

切ない「赤とんぼ」

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赤とんぼの主人公は、幼い頃ねえやの背中におんぶされて、肩ごしに見た夕やけと赤とんぼが飛んでいる風景を思い出しているんだと思います。

作詞した三木露風は、5歳の頃に両親が離婚します。

母とは別々に暮らすこととなり、祖父の家で育てられます。

その際、雇われた若い女性に子守をしてもらったのですが、その時の思い出を歌にしたのが童謡「赤とんぼ」だと言われています。

子守をしてくれたねえやは、15歳で嫁いだと歌詞にあります。

実際に三木家では、貧しい農家出身の女の子を住み込みの奉公人として雇い、しばらくして農家へ嫁いでいったそうです。

ねえやは、幼い頃から働き続け、嫁いだ後も便りがないくらい嫁ぎ先で一生懸命働いていたと想像できます。

歌詞にある「お里の便りも絶え果てた」については、様々な解釈があります。

いずれにしても、貧しい農家の娘との思い出を、主人公である三木露風が懐かしくも切ない気持ちで思い出しているというのが、「赤とんぼ」という童謡の本当の姿だと思います。

短く覚えやすい歌詞の中に、作者の切ない想いが溢れている童謡「赤とんぼ」。

時代を超えて愛され続ける理由が、何となく分かる気がします。

 

 

 

参考文献

若き日の三木露風 (近代文学研究叢刊)

三木露風詩集 (世界の詩 30)

日本の詩歌〈第2〉土井晩翠,薄田泣菫,蒲原有明,三木露風 (1969年)