マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

「せいぜい頑張ってください」は皮肉なのか激励なのか

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 会社で、後輩社員と一緒に廊下を歩いていたら、向こうから上司が歩いてきました。

すれ違いざま、上司が

「あの案件どうなってる? 多分、実現は難しいとは思うけどな。まあ、せいぜい頑張れよ」

と、後輩社員に話かけました。

それを聞いた後輩は

「せいぜい頑張れって・・・全く人の苦労も知らないで」

なんて呟きながら、嫌そうな顔をしていました。

少しフォローしておこうと思い、「せいぜい」の意味について後輩に話をしながら会議室に向かうことにしました。

今回は、正反対の意味を持つ言葉について書いてみます。

 

 

 

「せいぜい」の本来の意味

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「せいぜい頑張ってください」と言われたら、なんだか馬鹿にされた気になったり、皮肉を言われた気になると思います。

「せいぜい」は、「精精」と書きます。

精という字には、雑念なくひたすら励む、心を打ちこむ、力を尽くすという意味が含まれています。

この精が2つも重なった「せいぜい」は、本来は「力の限り精一杯」という意味の言葉です。

だから、「せいぜい頑張ってください」というのは、本来は「力の限り頑張ってください」という、激励の言葉になります。

 

「せいぜい」の持つ2つ目の意味

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せいぜいというのは、他にも

「どんなに高くても、せいぜい5万円くらいだ」

「せいぜい2時間もあればできる仕事」

といった使い方があります。

この場合は「多く見積もってもその程度」という意味になります。

せいぜいの本来の意味は「力の限り精一杯」でしたが、これを拡大解釈し「もっとできるはずだ」「今のままでは物足りない」と捉えられるようになり、現在は「その程度」という意味でも使われるようになりました。

そのため現在は、「せいぜい」は「力の限り精一杯」という意味と「多く見積もってもその程度」という、正反対の意味を持っていることになります。

 

1つの言葉に正反対の意味を持つ言葉

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せいぜいの他にも、同じ言葉なのに正反対の意味を持った言葉があります。

例えば、「適当」という言葉。

テストの問題では、「空欄に適当な言葉を入れよ」といった形で使われます。

この場合の「適当」は、「ふさわしい」という意味です。

反対に、「あの人は適当だから」と言った場合は、「いい加減」という意味で使われます。

本来、「適当」という言葉は、ぴったり当てはまるという意味でした。

それがだんだんと緩くなり、程よくあてはまる、そして当てはまるように繕うという意味になり、現在はいい加減という意味でも使われるようになりました。

 

誤解されやすい言葉

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正反対の意味を持つ言葉は、会話や文章の文脈から、どちらの意味で使われているかを判断しなければいけないと思います。

でも、「せいぜい」も「適当」も、本来の意味とは正反対の意味で使われることが多い言葉だと思います。

無理して本来の意味に沿って使おうとすると、要らぬ誤解を招いてしまうことになるのかもしれません。

 

 

 

参考文献

広辞苑 第六版 (普通版)

新明解国語辞典 第七版