マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

赤飯は、慶事と弔事のどちらに相応しいのか

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最近、コンビニの赤飯おにぎりをよく食べます。

1か月前から一緒に仕事をしているアメリカ人女性の方が、

「日本のコンビニおにぎりは手軽で美味しいから大好き。その中でも、赤飯おにぎりはもちもちしていて凄く美味しい。これは感動的な美味しさよ!」

と言っていたのに影響されて、食べるようになりました。

最近は、自宅で赤飯を食べる機会が少ないのですが、子どもの頃はよく母親につくってもらっていた気がします。

今回は、赤飯について書いてみます。

 

 

 

 

赤飯とは

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赤飯は、もち米に小豆またはささげ(大角豆)を混ぜて蒸したご飯のことです。

現在も、何かめでたい事があると、赤飯を炊いたり買ってくる事があります。

また、出産祝いのお返しや、結婚披露宴の引き出物として、重箱や折詰に赤飯を詰めて配ることもあります。

 

赤米と白米

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日本で稲作が始まって以来、米はとても価値の高い食糧と考えられてきました。

稲作が始まってから江戸時代頃までは、赤米が各地でつくられていました。

当時の米は、インディカ種とジャポニカ種の中間にあたるものでした。

インディカ種は赤っぽい色をしており、ジャポニカ種は白色の米です。

縄文時代の終わり頃に日本に入ってきた米は、現在の赤飯に近い色のものでした。

時代が進むにつれ、稲作の技術も発達します。

江戸時代には品種改良が何度も行われ、つくりやすく収量が多い米が登場してきます。

味も白米の方が良くなり、赤米は年貢として納めることができなくなっていきました。

 

赤飯にゴマを乗せる理由

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日本では古来、赤い色には邪気を祓う力があると考えられてきました。

赤は太陽の色であり、燃える火の色です。

赤は、魔除けの力のある神聖な色だったんです。

そのため、江戸時代頃から白米は年貢用、赤米は神に供えるための米と考えられるようになっていきます。

神に供えた赤米を蒸したものは、神と交流を持ちたいという想いから「御下がり」として食べる風習がありました。

米の品種改良が進み、赤米がつくられなくなると、白い米に小豆などで色付けし、赤米の代わりとされるようになります。

江戸時代、白米を炊いた飯を白飯、もち米に小豆などで色付けした飯を赤飯と呼ぶようになります。

この赤飯にゴマを乗せるのは、白いご飯を赤くしたことを神様にゴマかすためだと言われています。

 

滝沢馬琴と赤飯

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江戸時代には、様々な祝事で赤飯が炊かれていました。

滝沢馬琴も、2人目の孫である幸が生まれて1ヶ月後に、仕出し屋に赤飯を注文し、内祝いとして配った事が『馬琴日記』に書かれています。

注文した赤飯は2桶分で、代金は1分1朱だったそうです。

1分は、1両の1/4、1朱は.1両の1/16です。

1両を現在の額面にすると、約13万円程度と考えられています。

これを基準にすると、1分1朱は40,625円になります。

当時江戸で庶民の住む長屋の家賃は、1万円程度のものが多かったとされています。

人気作家だった滝沢馬琴だからこそ、内祝いの赤飯にこれだけの金額を使えたのかもしれません。

 

慶事と弔事、どちらにふさわしいのか

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江戸時代の京都では、葬儀の際に赤飯が配られていたという記録があります。

滝沢馬琴は、孫の誕生内祝いとして赤飯を配ったと書き残しています。

赤飯は、慶事・弔事のどちらにおいても食べて良いものでした。

現在も、通夜や葬儀の当日に赤飯を食べる風習のある地域があります。

赤飯が、出産内祝いや引き出物といった慶事で使われることが多くなったのは、明治時代以降のことです。

明治時代以降、慶事には「赤」、弔事には「黒」という常識が一般的になります。

これは、西洋文化が日本に入ってきたことが大きな理由です。

 

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赤飯は、神への供え物でした。

神との交流や、神の力にあやかりたいという想いから、「御下がり」として食されてきました。

赤飯の歴史をたどると、慶事・弔事のどちらでも用いて良い気がします。

また、受験や試合など神の力にあやかりたくなる「ここぞ」という場面にも、赤飯は適しているような気がします。

 

 

 

参考文献

馬琴日記〈第1巻〉 (1973年)

子どもが学校に行かなくなったら赤飯をたきなさい!

日本のたしなみ帖 縁起物

ニッポンの縁起食―なぜ「赤飯」を炊くのか (生活人新書)

葬式と赤飯―民俗文化を読む