マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

神社で頭を下げる理由と、抜けた乳歯を屋根に投げる風習の共通点

f:id:manastylejp:20170528091901j:plain

先週から、小学生の娘が元気なく落ち込んでいました。

学校で何か嫌なことがあったらしく、自室で塞ぎ込んでいることがありました。

そんなわけでこの週末、家族で外食に行ったり、たまたま祭りが行われていた近くの神社に遊びに行ったんですが、娘にとってはいい気分転換になったようです。

神社を訪れた際、神社で頭を下げる理由を説明したら、何か感じることがあったようで、少し元気になりました。

また、外食していたら乳歯が抜けたのですが、

「これって、神社で頭を下げた理由とおんなじだね」

と言って、更に元気を取り戻していました。

今回は、神社で頭を下げる理由と、歯投げの共通点について書いてみます。

 

 

 

 

ハレとケの世界

f:id:manastylejp:20170528092100j:plain

ハレとケという言葉があります。

ハレは「晴れ」とも書き、日常ではない特別な日(非日常)を意味しています。

ハレに対してケは、普段の生活(日常)を意味します。

ケの、日常生活は「気」によって継続できると考えられています。

ケである日常状態が長く続くと、だんだん気が滞ってしまうと言われています。

気が滞ると、生命活動の「元」になる「気」、すなわち元気がなくなってしまいます。

毎日同じ事を繰り返すばかりだと、「生」きていくために必要な「気」、すなわち生気が失われていくとも言えます。

こうした気が枯れた状態を、キガレ、ケガレと言い、「穢れ」という字があてられるようになりました。

この穢れの状態から抜け出し、元の気を取り戻すために、ハレの儀式が必要だったんです。

ハレの日は、身も心も日常から抜け出すため、晴れ着や晴れ姿の装いになります。

現代でも、単調化した日常から抜け出すために

「たまにはオシャレして食事に行こう」

なんてことは多いと思います。

日常で溜め込んだケを払拭するために、ハレの日を効果的に取り込む必要があるとされてきました。

 

神社で頭を下げる理由

f:id:manastylejp:20170528092140j:plain

神社でお祓いをしていただく際に、頭を下げます。

これには、ありがたいから頭を下げるのではなく、死を演じるという意味があります。

生気に満ちた状態に生まれ変わるためには、穢れた状態を一旦死んでリセットする必要があります。

神社で頭を下げるのは、「擬死」の状態を演じて、生気に満ちた清らかな自分に生まれ変わるという意味が込められています。

昔から、死に直面した経験のある人は、その経験が後の人生や考え方に大きな影響を与えることがよくありました。

簡単に死に直面するわけにはいかないので、神社で死を演じることで、人生を好転させようと考えられてきました。

 

乳歯が抜けたら歯投げする理由

f:id:manastylejp:20170528092227j:plain

昨日、歯投げに関する記事を書いたのですが

 

www.mannerstyle.jp

 

これは、丈夫な歯に生え変わってほしいという想いが込められた儀式です。

これまでお世話になった乳歯に感謝の気持ちを込めて、屋根や縁の下に投げ入れます。

歯投げも、死と再生の意味を含んだ儀式だと思います。

 

死と再生を意味した儀式

f:id:manastylejp:20170509140640j:plain

死と再生の意味が込められた儀式は、他にもたくさんあります。

例えば、結婚式で身に付ける花嫁衣装は、白無垢、角隠し、綿帽子姿が日本の伝統的なものになります。

これは、赤ちゃんに着せる白い産着や、死装束と同じ白の衣装です。

花嫁は、実家の娘として一旦死んで、嫁ぎ先の嫁として新しく生まれ変わるものと考えられていました。

結婚式で花嫁の顔を覆うのは、白布が使われます。

これは、赤ちゃんや死者があの世とこの世を行き来する際に、太陽の光を避けるために白布を用いたのと同じ理由で使われています。

 

ハレからケへ戻るために

f:id:manastylejp:20170528092516j:plain

この週末、娘にとって非日常である、外食と神社の祭りという2つのハレを経験できたことで、気分転換になったようです。

それだけでなく、神社で頭を下げるということと、乳歯が抜けるという2つの「死と再生」も経験しました。

神社で頭を下げるという、何気ない所作に込められた想いや由縁を理解してもらうだけで、1つ1つの所作に想いを込めることができるようになり、振る舞いも美しくなる気がします。

そんなわけで我が家では、家族の誰かが落ち込んだり嫌なことがあった際には、「擬死」を演じられる場所を訪れて、死と再生の由縁を話すようにしています。

 

 

 

参考文献

人生に悩んだら「日本史」に聞こう 幸せの種は歴史の中にある (祥伝社黄金文庫)

聖地・高野山で教えてもらった もっと! 神仏のご縁をもらうコツ

神様、福運を招くコツはありますか?直接きいてわかった神仏の本音 (幻冬舎単行本)

神社仏閣は宝の山