マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

寿司の歴史と寿司屋での作法

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小学生の娘がいるのですが、最近何か学校で嫌なことがあったらしく、昨日から落ち込んでいる様子です。

昨日の夜は11時半頃まで、妻にいろんな話を打ち明けていました。

明日からは休みなので、

「気分転換に何か美味しいものでも食べに行こうか?」

と言ったところ、娘から

「お寿司が食べたい」

という返事が返ってきました。

回転寿司でいいかなと思ったんですが、

「気分転換には、程良い緊張感を感じられる場所や、今まで行ったことのない場所に行くのも大事なんじゃない?」

という妻の一言で、カウンターで職人が握ってくれる寿司屋に行くことになってしまいました。

納得いかない気持ちを紛らわすため、今回は寿司の歴史や作法について書いてみます。

 

 

 

 

寿司の原型

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寿司の歴史をたどると、紀元前5世紀から3世紀まで遡ることができます。

当時の中国で使われていた辞典『爾雅』に、「鮨」の文字が残されています。

寿司を漢字1文字にする場合、魚偏に作ると書く鮓と、魚偏に旨いと書く鮨の2種類があります。

平安時代に編纂された『延喜式』の中には、鮓や鮨という言葉が多く残っています。

「鮓」は、近江の鮒寿司や津軽のにしん寿司に見られる、なれ寿司の系統を指します。

「鮨」は、本来は塩辛のように魚の内臓を塩であえたもののことを指していました。

鮓も鮨も、魚の保存技術の一種で、現在の日本料理としての寿司とは別物だったようです。

 

握り寿司の誕生

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握り寿司は、江戸時代後期の1800年頃に発達しました。

この頃から、酢であえた飯が使われるようになります。

日本では、長い間なれ寿司が食されていましたが、酢であえた飯が登場することで、寿司は現在の形に近いものとなります。

握り寿司の元祖の店は、「與兵衛鮓」とも、「松の鮨」とも言われています。

與兵衛鮓では、華屋與兵衛という職人が、客の目の前で寿司飯と魚を一緒に握ったと言われています。

同じ頃、松の鮨では、堺屋松五郎という職人が、初めて寿司にわさびを使い始めました。

與兵衛鮓は、現在の国技館に近い両国の横綱町にありました。

松の鮨も、忠臣蔵で有名な吉良上野介の屋敷があった近くの本所安宅にありました。

本所安宅も、両国です。

ということは、両国は握り寿司発祥の地と言える気がします。

 

江戸前の寿司

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江戸前という呼び方がありますが、古くから「どこからどこまでの場所を指すのか」についてはあいまいでした。

諸説ありますが、本来は江戸城から隅田川までの地域を指す言葉だったようです。

隅田川の川向うは、当時はまだ江戸ではありませんでした。

当時の江戸湾では、アナゴ、エビ、こはだ、アジ、赤貝などが取れており、江戸湾で取れた魚介類という意味で江戸前と呼ぶようになったとされています。

 

寿司と醤油

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江戸前の寿司に欠かせなかったのは、魚、飯、酢以外にわさびと醤油がありました。

醤油は、この時代に普及した調味料だとされています。

與兵衛鮓では、煮詰めた醤油を蛤やアナゴに塗って出していました。

現在もこの伝統を守って、醤油を小皿に入れずに、煮詰めただし醤油を魚に塗って食べる、昔ながらの寿司屋があります。

 

屋台の寿司

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江戸時代の後期には、屋台の寿司屋が江戸の街にたくさんありました。

目の前で職人が握り、すぐに食べることができる寿司は、短気な江戸っ子にぴったりのファーストフードだったんだと思います。

こうした屋台の寿司屋では、生姜を好んで食べる人が多かったそうです。

生姜は、江戸では酢で漬けた酢生姜が好まれ、関西では梅酢で漬けた紅生姜が好まれていました。

冷蔵庫のない時代、生の魚が使われる寿司には、殺菌作用のある生姜が欠かせなかったんだと思います。

 

寿司屋の作法 符丁

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誰もが一度は聞いた事のある、寿司屋の符丁、いわゆる業界用語はいくつかあります。

寿司屋では、醤油をムラサキと呼んだり、生姜をガリ、お茶をあがりと呼びます。

これは、寿司職人同士で会話する際に使う言葉「符丁」です。

「おあいそ」は、最近はどの飲食店でも普通に使われがちな言葉ですが、これも寿司屋の符丁です。

昔から、通ぶった客がこうした符丁を使うのは、田舎くさい事だと考えらえてきました。

 

寿司屋の作法 食べ方

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握り寿司が出てきたら、手に取って食べたり箸を使って食べたりと、人によってさまざまだと思います。

どちらの方法にせよ、寿司を半分ずつ食べるのは良くないとされています。

特に女性は、1口で食べきれずに半分ずつ食べることもあると思います。

ちゃんとした寿司屋であれば、相手の口の大きさを考えて、微妙に寿司の大きさを加減してくれます。

また、醤油をつける際は、酢飯ではなく魚に醤油をつけるのが美味しい食べ方とされています。

握り寿司は生ものなので、寿司が目の前に置かれたら、できるだけ時間を置かずに口にするのが美味しく食べるコツだと思います。

 

寿司屋の作法 飲み物

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寿司に合う飲み物は、お茶だとされています。

あまりアルコールを飲みすぎると、繊細な寿司の味が分からなくなってしまいます。

アルコールを飲む場合は、ビールよりも日本酒の方が寿司と相性がよいとされています。

寿司も日本酒も、米を使ってつくられているので、昔から相性が良いとされてきました。

寿司屋で飲みすぎて、寿司の味が分からなくなってしまうのは、無粋なことなんだと思います。

 

寿司屋の作法 支払

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寿司屋で勘定を払う際は、職人にではなく女将さんにお金を渡します。

ご祝儀を渡す際も同じです。

素手で寿司を握る職人にとって、仕事中にお金を手にすることは禁物です。

お金は必ず、女将さんに渡すものとされています。

 

 

 

参考文献

寿司の教科書 決定版 (e-MOOK)

保存食品開発物語 (文春文庫)

現代すし学Sushiology―すしの歴史とすしの今がわかる

「和食と日本人」おもしろ雑学 (だいわ文庫)

すしの歴史を訪ねる (岩波新書)