マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

応接間に、絵画や花が飾られている理由

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半年前まで担当していた取引先の社長から、突然電話が掛かってきました。

何かトラブルでもあったのかな、と不安がよぎったのですが、

「今度また仕事を依頼することにしたから、よろしく頼むよ。今の若い担当も、なかなかいいね。あいつ、俺が部屋に入るまで椅子に座らず、何時間でも立って待っているような男だからね」

と言っていました。

電話が終わった後、半年前に後輩社員に引き継いだ日のことを思い出していました。

今回は、そんな半年前の出来事について書いてみます。

 

 

 

 

後輩社員と同行

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半年ほど前、雨が降る中を入社2年目の後輩社員と一緒に取引先の会社へお邪魔しました。

後輩社員が考えた企画案件があったのですが、後輩にその会社でプレゼンしてもらったところ、なかなか良い反応があったんです。

その会社の社長は少々気難しくて癖のある方なんですが、フォローすれば後輩も良い経験が積めると思い、この機会に担当を引き継ぐことにしました。

会社の受付で挨拶した後、応接間へ通されました。

案内してくれた女性は

「どうぞお掛けになってお待ちください」

と言い残し、静かに部屋を出ていきました。

緊張気味の後輩社員に

「いつもの調子でいれば、きっとうまくいくから」

と声をかけたところ、後輩は

「そうですよね」

と言いながら、ソファに深く腰掛けて少し安心した表情になりました。

ハンカチを取り出し、雨で濡れたスーツを軽く拭きながら。

それから取引先の社長が来られるまでの約5分の間、後輩社員に話をしながら待つことにしました。

 

応接間に、絵画や花が飾られている理由

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ソファに座って安心した様子の後輩社員に

「これは、あくまでも1つの参考として聞いてもらえればいいから」

と前置きした上で、淡々と話を始めました。

「他所の御宅や会社を訪問して、応接間に通された時は、その家の主人や担当者が姿を見せるまで椅子やソファに腰をおろさず、立ったまま待つのが礼儀に適っていると思うよ。応接室の壁に絵が飾られていたり、花が活けられているのはそのためなんだから」

話し終わると、後輩社員は緊張した面持ちですぐにソファから立ち上がりました。

 

家風や社風を感じ取る

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通された応接室は、正面にモネの絵画が飾られていました。

脇には、花瓶に活けられた綺麗な花が置かれていました。

おそらく花は、季節に合わせて誰かが選んでいるんだと思います。

訪問したのは飲食関係の企業でしたが、芸術や花を愛でる細やかな心配りが感じ取れる応接室でした。

応接室で立ったまま待つということは、相手に対する作法という意味もあるかもしれませんが、訪問先の家風や社風を感じ取る上でも役立つと思います。

 

相手の印象に残る所作

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「応接室のソファに座らずに待つ」

たったこれだけのことですが、今日電話をかけてきた社長にとっては、深く印象に残るものだったようです。

ビジネスで好印象を与えるには、別れ際を大切にすると良いといったテクニックをよく見かけます。

別れ際の印象も確かに大切ですが、応接室で座らずに待つということも大切な気がします。

さりげなく部屋を観察すれば、家風や社風を感じ取ることができます。

もしかすると、電話や会話の声が応接室まで聞こえてくるかもしれません。

訪問時には椅子やソファに座らず、相手が姿を見せるまで立って待つことは、好印象を与えるだけでなく情報収集という意味でもメリットがたくさんある気がします。