マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

胎教は、周王朝の妃・大任(たいじん)の「徳を積む胎教」が理想なのかもしれない

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家族でお付き合いをしている友人宅へ遊びに行ったのですが、友人の奥さんが妊娠3か月に入ったと教えてくれました。

2回目の妊娠なので、初めての妊娠・出産の際にはできなかったことを色々試してみたいと話していました。

最近は、胎教について調べているそうです。

元々音楽が好きなので、リラックスできる音楽を1日中流すように心がけるようになったとか。

そんなわけで今回は、胎教について書いてみます。

 

 

 

 

胎教とは

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胎教とは、妊婦が精神力を高めたり、健康に気をつけたりする事で、胎児に良い影響を与えようとする事です。

胎内教育とも言います。

最近では、いい音楽を聴いたり、綺麗な景色を見るのが胎教だとされている場合が多い気がします。

 

胎教のはじまり

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胎教という言葉が最初に使われたのは、中国の『青史氏之期』という書物だと言われています。

古来、徳のある子供を形成するための教育思想の1つだと位置づけられていました。

日本へは、奈良時代から平安時代頃にこの思想が伝来したと考えられています。

 

胎教が一般化した時代

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日本では、江戸時代には既に胎教の大切さが一般化していました。

江戸時代初期に、女性向けの教訓書『鑑草(かがみぐさ)』を書いた儒学者・中江藤樹は、著書の中で胎教について触れています。

『鑑草』の中で胎教について書かれた部分に、紀元前1046年頃から紀元前256年頃まで中国を支配していた、周の国の王妃が登場します。

周の国王・季歴(きれき)には、大任(たいじん)という名の后がいました。

大任はとても誠実な人柄で、慈悲深い人物でした。

特に季歴の子を宿してからは、ますます徳を積み、胎教につとめたそうです。

その結果、出産した男児(後の文王)は幼い頃から聡明で慈悲深かったそうです。

文王が周の国王となってからは、仁政につとめ天下万民を救い、国を豊かにしました。

文王の活躍もあり、周王朝は800年もの長きに渡って繁栄しました。

 

大任皇后が積んだ徳

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大任皇后は、周の国を治める自分の一族だけではなく、国民のことを考えた政治をサポートしました。

それが、徳を積むことにつながったとされています。

ここで言う徳とは、中国の哲学である儒教において、とても重要な概念です。

大任皇后が生きていた時代よりも後の時代に、孔子が儒教を体系化しました。

儒教においては、五常(仁、義、礼、智、信)という徳を積むことによって、五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)の関係を良好にすることが大切とされていました。

 

人を思いやることです。孔子はこの仁を最高の徳目としていました。

 

己の私利私欲にとらわれることなく、自分がやるべきことをしっかり果たすことです。

 

仁を実践するための、具体的な行動のことです。

人間の上下関係で守るべきことを意味しており、礼儀の由縁にもなっています。

 

いかなる時でも学問に励むべきである、ということです。

 

約束を守ることや誠実であることです。

 

江戸時代の胎教

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『鑑草』の中で、著者である中江藤樹は胎教について、次のように述べています。

「そもそも胎教とは、子が胎内にあるうちの教えであり、その教えは母の心持ちと行いになる」

その理由については

「胎児は感化されやすいものである」

と述べています。

『鑑草』の中で、胎教では慈悲と正直を根本とすべきものだとされています。

また、食事に気を付け、居住まいや行いも正しくすること。

目に嫌な色を見ず、耳に邪(よこしま)なる声を聴かない。

孝行や忠義に関して書かれた良書を読むこと。

といったことが書かれています。

 

胎教に力を入れすぎない

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中江藤樹は、胎教について最後にこう締めくくっています。

「生まれてくる子の容姿が良く、知恵や徳に優れていてほしいと願うのは、母心の常である。だが、胎教によってそうなるわけではない。胎教に力を入れすぎるのは良くない。しかし、胎教とは子に教える根本であるから、よく戒め、励む必要がある」

 

現代の胎教

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明治時代以降、西洋医学が一般化したことにより、胎教は科学的根拠に欠けるという意見も聞かれるようになりました。

それでも、胎教に関心のある女性は多いと言われています。

妊娠周期に合わせて、クラシック音楽を胎児に聴かせたり、絵本を読み聞かせる方も多いと思います。

また、食事に気を遣ったり、マタニティヨガや日々の運動を習慣化するようになる場合もあると思います。

胎教と言うと、どうしても早期教育をイメージしがちな人もいるかもしれませんが、実際はそうではないようです。

古来ずっと変わらない、妊婦の心構えや生活習慣に関する注意点をまとめたものが、妊婦にも胎児にも良い胎教だと言える気がします。

 

 

 

参考文献

中江藤樹『翁問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ15)

代表的日本人 (岩波文庫)

人生と陽明学 PHP文庫

中江藤樹の生き方

中江藤樹―道に志し孝を尽くし徳を養う生き方

中江藤樹 人生百訓

鑑草 (岩波文庫)

論語 (岩波文庫)