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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

「大人になる」「1人前になる」という基準についての歴史を調べてみた

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連休なので家族で遊びに行ったのですが、行く先々で年齢によって入場料金が違っていました。

入場料が大人(高校生以上)と中学生、小学生、乳幼児と分かれていたり、中学生以上と小学生以下という分け方になっているところがありました。

大人料金の基準は、店によって自由に決めても問題ないのかもしれません。

でも、大人の基準を満たしているかどうかは、時代や場所によって違っていたと思います。

そんなことを考えたので、今回は1人前の基準について、調べたことを書いてみます。

 

 

 

 

1人前の基準

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日本では古来から、階層や職業に応じて、1人前と認められる基準が設けられていました。

それがクリアできないと、大人として認められませんでした。

 

1人前の平安貴族とは

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桜井秀氏の著書『日本風俗史』に、平安時代の貴族が、1人前と認められる基準について書かれた部分があります。

本によると、平安時代に絶対的な権力を持ち続けた藤原氏一族では、元服できる条件が細かく定められていたそうです。

まずは、身長が150センチになることが第一条件です。

知的条件については、細かく定められていました。

  • 9歳で大乗経を読めること
  • 10歳で論語・詩経・漢書・文選を学ぶこと
  • 12歳では、晴御会(はれのぎょえ)で笛を吹けること、観音経や寿命経を読めること

と定められていました。

 

1人前の農家とは

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農村では、1人前と認められる基準は仕事に関わるもので定められていました。

  • 1人で4斗俵(60キロ)を担げるか
  • 1日に7畝の田植えができるか
  • 1日に田畑を1反起こせるか
  • 草刈りを1日1駄(馬の背中いっぱいに乗せる)できるか
  • 草履(ぞうり)を1日20足、もしくは草鞋(わらじ)15足作れるか

といったものがありました。

ちなみにこれは、男性の仕事量です。

女性は男性の仕事量の半分ができれば、1人前と認められたそうです。

 

明治から昭和にかけての1人前

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明治時代に徴兵令が施行されてから、太平洋戦争が終結する1945年までは、徴兵検査で一級である甲種合格となることが「一人前の男」の証だったようです。

徴兵検査により、健康状態や徴兵上の立場が明らかになることで、社会的な立場にも影響が出たとされています。

 

地域限定の厳しい儀式

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全国にある、霊山とされる神聖な山の近くでは、厳しい修練が課せられる場合がありました。

青森県の岩木山の近隣の村では、男子が元服する年齢となると、山に登る風習がありました。

まずは山に登る前に小屋に籠り、肉食を慎み、身を清めます。

そして般若心経典や祝詞を暗記します。

暗記したらようやく山に登り、下山する際は踊りながら村に帰ったそうです。

奈良県にある大峰山の周辺の村では、男子が15歳になると大人に連れられて大峰山に上り、「のぞき」と呼ばれる儀式が行われたそうです。

これは、断崖絶壁の上で大人に足を押さえてもらい、半身を崖から乗り出しながら、人としての道義を誓うという儀式だそうです。

長崎県にある大崎町では、「絞め殺し」という儀式があったそうです。

これは文字通り、仮死状態になるまで首を絞める儀式です。

この儀式を経て、ようやく若者組に入ることができたと言われています。

 

1人前の基準とは何なのか

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バヌアツ共和国では成人の儀式として、高さ30メートルのやぐらを組み、ヤムイモの蔓を使ってバンジージャンプします。

大人になる、1人前になるという事は、知性・体力・仕事力・勇気など、たくさんの能力が時代や場所に応じて求められていたんだと思います。

20歳になった時点で「大人」「成人」とするのは、法律上は問題ないのかもしれませんが、社会では1人前とは言い切れない場合もある気がします。

 

 

 

参考文献

日本風俗史事典

日本風俗史