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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

箸から箸へ食べ物を渡してはいけない、本当の理由

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小学校に通う娘の友人家族と一緒に、近所の公園でバーベキューをしていました。

焼いた肉をトングで挟んで皿に移そうとしたところ、自分の箸でトングから奪うように肉を持って行った子どもがいました。

箸から箸へ食べ物を渡すのは、マナー違反だとされています。

箸は元々、トングのような形をしていたものだと考えられています。

ということは、トングから箸へ食べ物を渡すのも、やってはいけないことなのかもしれません。

そんなことを考えたので、今日は箸から箸へ食べ物を渡してはいけない理由について書いてみます。

 

 

 

 

合わせ箸

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箸から箸へ、食べ物を渡してはいけないとされています。

これは「合わせ箸」や「拾い箸」「箸渡し」と呼ばれる、マナー違反な箸の使い方です。

箸から箸へ食べ物を渡してはいけない理由は、葬儀の作法に関連しているからだと一般的に言われています。

葬儀では、火葬場で個人の遺骨を拾い、骨壷に納める際、2人で1つの骨を、それぞれ手にした箸で挟み合います。

それを食事の場で行うのは、縁起が悪いからだというのが一般的な通説です。

 

なぜ、箸から箸へ遺骨を渡すのか

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箸から箸へ遺骨を渡す理由については、いくつかの説があります。

1つ目の説は、穢れを定着させないためという説です。

遺骨を拾うというのは、死と接触する行為です。

死を穢れとして考えていた時代には、死の穢れが自分に定着することが忌み嫌われていました。

遺骨に手で触れるのではなく、箸を使う事で穢れに直接触れないようにし、更に遺骨を箸で渡すことによって、1人に穢れを滞留させないようにしていたというのが、1つ目の説です。

もう1つの説は、境界説です。

物を箸でつまんだ状態というのは、いつ落ちるかもしれない危うい状態です。

生と死の境界というものを、箸から箸へ渡す事でその場にいる人達が認識するために、箸から箸へ遺骨を渡す風習ができたとも考えられています。。

 

普段やってはいけない、葬儀の作法

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葬儀の作法で、普段の生活でやってはいけないとされているものは他にもあります。

例えば、茶碗に盛った飯に箸を突き立ててはいけないとされています。

これは、「仏箸」や「立て箸」と呼ばれています。

また、水に湯をさすのも、普段の生活ではやってはいけない事とされています。

 

作法とは、はじめに日常ありき

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合わせ箸や仏箸などの、普段やってはいけない作法に関するよくある勘違いは「葬儀の際に行う作法だから、日常生活でやってはいけないことになっている」というものです。

人の死や、それに伴う葬儀というのは、日常生活に突然入り込んでくる非日常です。

だから、葬儀では日常と反対の作法を行います。

箸を使って2人で骨を運ぶのも、飯に箸を突き立てるのも、普段しないから葬儀でするんです。

はじめに葬儀の作法があるのではなく、日常の作法があるから、その逆の作法を葬儀でするんです。

江戸時代に箸の作法が確立された当初には、合わせ箸や仏箸という、やってはいけないとされる箸の作法はありませんでした。

「葬儀では日常と逆の作法を行う」という考え方が世の中に広まってから、普段行わない箸の作法が葬儀のために考え出され、合わせ箸や仏箸という葬儀の作法ができたとされています。

こうした箸の作法が確立する上での、歴史や由縁があまり知られることのないまま、「箸から箸へ食べ物を渡してはいけない」という箸の使い方に関する作法は、現在も生き続けています。

作法が確立した歴史や由縁については、敢えて知る必要はないのかもしれません。

でも、作法やしきたりの由縁を調べていくと、思わぬ歴史上の出来事や神話に繋がっていたりするものがたくさんあります。

また、勘違いから生まれたとされる作法もたくさんあります。

作法やマナーの由縁を調べれば調べるほど、人間の本質がそこに見え隠れしている気がします。