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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

金太郎と酒呑童子の関係が面白かったのでまとめてみた

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 仕事で出張が多いのですが、移動中はほとんど本を読んでいます。

今日も仙台で仕事をしていたのですが、あいにくの雨だったので仕事が終わってからはコーヒーを飲みながら本を読んでいました。

先日、桃太郎と日本神話、陰陽五行思想の関係についてまとめたことがありました。

 

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浦島太郎と日本神話についてもまとめたのですが、

 

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こうなると金太郎も気になったので、今日は酒呑童子や金太郎に関する本を読んでました。

金太郎は、桃太郎や浦島太郎のように、日本神話には繋がりそうにありません。

でも、鬼退治や竜宮城には繋がっている気がします。

そんなわけで今回は、金太郎と酒呑童子の関係について書いてみます。

 

 

 

金太郎のイメージ

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金太郎といえば、赤い腹掛けの衣装で、マサカリをかついで熊にまたがる姿をイメージできると思います。

古い時代に描かれた金太郎のイラストは、大抵赤ら顔をしています。

その理由は、子供なのにお酒が好きだったからだとされています。

 

物語の中の金太郎

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金太郎は、956年の5月に誕生したと言われています。

彫物師の十兵衛の娘・八重桐(やえぎり)が、京で坂田蔵人と結ばれできた子どもです。

八重桐は故郷に帰り金太郎を産みましたが、坂田が亡くなってしまったため、京へ帰らず故郷で育てることにしました。

金太郎は足柄山で熊と相撲をとるなど、元気でたくましい子供に育ちました。

ある日、足柄峠を訪れた源頼光と出会い、その怪力を認められて家来となりました。

名前を坂田金時と改名し、京で源頼光の四天王の一人となりました。

当時、丹波の国の大江山には酒呑童子が住んでいて、都に訪れては女人をさらうなど、人々に恐れられていました。

源頼光と四天王は、帝の命を受けて酒呑童子を退治します。

その後、坂田金時は九州を征伐するため筑紫へ向かいますが、途中で重い熱病にかかり、55歳で死去したとされています。

 

このほかにも金太郎に関する様々な伝説は各地に残されていますが、坂田金時が実在の人物かどうかは、疑わしいという見方もあるようです。

金太郎の正体は、一体どんな人物か調べてみたら、意外なおとぎ話と繋がっていました。

 

酒呑童子

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金太郎ともう1つのおとぎ話との繋がりは、大江山の酒呑童子退治伝説から読み取ることができます。

大江山の鬼退治伝説は、14世紀にまとめられた「大江山絵詞(おおえやまえことば)」に記載されています。

酒呑童子の大まかなストーリーは、次のようなものになります。

一条天皇の時代、京の若者や姫君が次々と神隠しに遭う事件がありました。

安倍晴明に占わせたところ、大江山に住む鬼の酒呑童子の仕業と分かります。

事態を重く見た帝は、源頼光に鬼退治を命じます。

源頼光の家来に、金太郎(坂田金時)もいました。

源頼光一行は、神仏に願掛けした後に、山伏姿で鬼退治に向かいます。

大江山に着くと、3人の翁に出会います。

翁たちは、人間が飲めば薬になるが、鬼が飲めば毒になるという不思議な酒を用意してくれます。

翁たちに導かれ、酒呑童子の居場所へ向かった源頼光一行。

昼は童子の姿で、夜になると鬼の姿になる酒呑童子をうまく騙し、酒を飲ませて酔い潰し、見事刺し殺しました。

 

酒呑童子の正体

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古来から伝わる昔話には、何らかのメッセージが込められたものがたくさんあります。

この酒呑童子の話にも、メッセージが込められていると考えてみます。

メッセージを読み解くために、まずは酒呑童子とは何なのかを調べてみました。

酒呑童子の正体については、いくつかの説があります。

1つ目の説は、山賊説です。

平安時代から鎌倉時代にかけて、都を荒らした「鬼」は、丹波国の大江山あたりを根城としていた山賊だったのではないかという説です。

2つ目の説は、疫病説です。

酒呑童子とは、疱瘡(ほうそう)の事だという説があります。

この説の根拠になっているのが、陰陽道で考える京都と大江山の関係です。

源頼光の時代は、都は平安京にありました。

大江山は、平安京から見て北西の方角です。

陰陽道では、北西の方角は「天門」とされ、怨霊や魑魅魍魎などの災いが出入りする場所とされ、忌み嫌われていました。

北西から吹く風は、「タマカゼ、アナジ」と呼ばれ、悪い気が風に運ばれてやって来ると考えられていました。

平安時代に恐れられた祟りには、菅原道真の怨霊があります。

これも、平安京の北西に雷雲が現れたと記録されています。

酒呑童子には、疫病の神の特徴があります。

当時の日本では、赤が疱瘡を象徴する色とされていました。

酒呑童子も、常に酒に酔って赤ら顔をしている鬼だと言われていました。

 

酒呑童子と竜宮城

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中世の歴史専門家の高橋昌明氏の著書『酒呑童子の誕生』の中に、酒呑童子が住んでいた場所について興味深い説があります。

 

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)

 

 

酒呑童子が住んでいたのは、大江山だと御伽草子に残されているわけではありません。

「大江山の岩穴の先」となっています。

岩穴の先はどこかというと、竜宮城であるという説が、著書の中に書かれていました。

著書によると、岩穴というのは長いトンネルのことです。

トンネルを抜けるという表現は、「あちら側」つまりこの世ではない世界を意味しています。

御伽草子に表現されている「大江山の岩穴の先」には、仙人の住む場所という意味合いが含まれているそうです。

当時の竜宮城のイメージは、きらびやかな場所というだけでなく、「闇の世界」というものもありました。

また、竜宮城は海の中と考えるのが一般的ですが、池ともつながっていると考えられていました。

御伽草子にも、「酒呑童子は大江山で龍宮御殿のような邸宅に住み、数多くの鬼共を部下にしていた」と表現されています。

 

金太郎と酒呑童子と陰陽五行思想

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酒呑童子が竜宮城に住んでいたと仮定すると、金太郎の逸話も陰陽五行思想で説明できてしまいます。

 

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竜宮城の主人は「竜」です。

竜は、水神と言われることもある、水の神様です。

大江山の岩穴の先に竜宮城があり、そこに酒呑童子が住んでいるとしたら、陰陽五行思想を当てはめて「酒呑童子は水の性質を持っている」と言えます。

陰陽五行思想では、「金生水(ごんしょうすい)」と言い、金がなければ水は存在できない、つまり金は水に勝つ性質を持っていると考えられています。

金太郎(坂田金時)は、水神である酒呑童子を退治できる存在だったんです。

ちなみに、金太郎の武器はマサカリ(金属)です。

これも、水の神を退治するためには必然の武器だったのかもしれません。

 

大江山とその周辺

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酒呑童子が住んでいたとされる大江山の周辺を調べてみたら、面白い発見がありました。

先に書いた通り、陰陽道では北西は「天門」と呼ばれ、怨霊や魑魅魍魎などの災いが出入りする場所とされ、忌み嫌われていました。

平安京と大江山を地図で見ると、平安京の北西に大江山があるという位置関係になります。

平安京から見て、北西に位置する大江山。

平安京と大江山の間に、現在も2つの神社があります。

1つは、豊受大神社(とようけだいじんじゃ)、もう1つは、皇大神社(こうだいじんじゃ)です。

豊受大神社の祭神は、伊勢神宮外宮の豊受大神です。

皇大神社の祭神は、伊勢神宮内宮の天照大神です。

日本国民の総氏神とされている神が祭られている神社が、平安京と大江山の間に2つもあるのは、単なる偶然とは言えない気がします。

当時の人々にとって、陰陽五行思想に基づく北西「天門」からもたらされる災いが、どれほど恐怖の対象だったかを物語っている気がします。

 

金太郎に込められたメッセージ

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平安時代の頃は、人々は山賊や疫病に怯え、安倍晴明をはじめとした陰陽師の言葉を支えに生きていたんだと思います。

金太郎の説話は、当時の人々が恐れた山賊や疫病を「鬼」と表現し、鬼を退治してくれる英雄が現れてくれることを期待したものだったのかもしれません。

気になるのは、金太郎と酒呑童子を産んだ母親についてです。

金太郎は、山姥から産まれたという説話も多く残っています。

酒呑童子も、山姥から産まれたとされています。

山姥とは何なのか、今度調べてみようと思っています。

もしも、金太郎と酒呑童子がどちらも山姥から産まれた子だとしたら、日本人の神に対する考え方と共通する気がします。

日本の神は、災害をもたらすこともありますが、機嫌を損ねなければ豊穣をもたらしてくれるとされています。

 

参考文献

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)

鬼の研究 (ちくま文庫)

御伽草子 上 (岩波文庫 黄 126-1)

お伽草紙 (新潮文庫)

歴史としての御伽草子

昔話と文学<柳田国男コレクション> (角川ソフィア文庫)

もう一つの中世像―比丘尼・御伽草子・来世

平安京英雄譚1 羅城門の鬼

大江山異聞 鬼童子(きどうじ) (光文社文庫)