マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

4や9は縁起の悪い数とされがちだけど、1や3も忌み数になる場合があるんです

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小学3年生になる娘が、最近料理に興味を持ち始めました。

私も料理が好きなので、週末に一緒に料理することが増えてきました。

今日は魚を使った和食メニューを一緒につくってみたのですが、娘は小皿に添える漬物の並べ方や数について試行錯誤していたようです。

その時話したことを含め、今日は数と縁起の関係について書いてみます。

 

 

 

漬物 一切れは「人切れ」、三切れは「身切れ」

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食事の際、漬物を出す場合に、一切れもしくは三切れを小皿に載せるのは良くないことだとされてきました。

沢庵などの漬物は、二切れ出すのが作法になっています。

これは、江戸時代に広まった風習だと言われています。

なぜ、一切れや三切れが悪いかというと、一切れは「人切れ」、三切れは「身切れ」に音が通じるため、縁起が悪いとされてきました。

江戸時代の武士は、よっぽどのことがないと刀を抜いてはいけないとされていました。

簡単に刀を抜いて人を斬りつけてしまうと、治安が乱れてしまいます。

また、当時の武士は、切腹に際し漬物を食前に三切れ出す風習があったという説もあります。

そんな時代だったからこそ、漬物を一切れもしくは三切れ出すのは、「人を切れば、自ら切腹(身切れ)」につながるとされ、縁起が悪いとされていました。

現在も、魚屋では三切れを盛り付けるのは嫌われており、魚の切り身を三切れ買うのは良くないことだと考える人は多くいます。

 

武士は書状に四を書かない

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室町時代から安土桃山時代にかけて活躍した武士の間では、数字の「四」は「死」に繋がることから、忌み嫌われていました。

書状にどうしても四と書かなければならない際は、「二」を重ねて「二二」と書いた記録が残っています。

また、方角では「北」が避けられていました。

北という文字は、2人の人間が互いに背を向けて立つ姿からできた、象形文字だと言われています。

そのため、敵に背を向けることを意味したり、「敗北」という言葉の意味に繋がってきます。

中国の歴史書『史記』の魯仲連伝の項目に、こんな一文があります。

「三戦三北、而亡地五百里」

意味は、三戦したが三回とも敗れてしまい、五百里の領地を失ってしまった、となります。

この一文の中で「三戦三北」とは、「三戦三敗」という意味で使われています。

また、日本の『伊勢兵庫守貞宗記』には、

「北面にならぬように置なり。主君南面に御座あらば、南に向て置べし」

という一文があります。

これは、鎧兜を置く際は、北に向けて置かないようにしなさい、という一文です。

武士の命を守る鎧兜に対しても、北の方角を避けて置く風習があったようです。

「書状に四を書かない」「北を避ける」といった戦国武士の縁起担ぎは、戦に勝利して生きて帰ってくることを願ったものだったと言える気がします。

 

日本料理の前菜に「三種盛り」が多い理由

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武士の縁起担ぎとは関係ありませんが、日本料理の会席料理には三種盛りが出てくることが多くあります。

会席料理では、出てくる料理の順番は大抵同じです。

最初に前菜が出てきて、次にお造り(刺身)、焼き物や蒸し物、揚げ物が順番に運ばれてきます。

それら全てを食べ終わったころに、ご飯や漬物が出され、最後に季節の果物や菓子がでてきてお仕舞になります。

会席料理の最初に出てくる前菜ですが、大抵は三種盛りになっています。

一口サイズの前菜が、細長い皿などに美しく盛られて出てきます。

フランス料理や中華料理では、前菜は2種類だったり4種類だったりします。

日本料理の前菜が三種盛りとなっているのは、「式三献(しきさんこん)」という儀式に由来しています。

式三献というのは、祝い事があった時に行われていた儀式のことです。

儀式では、そこに出席している人全員が、小の盃から中盃、大盃と、順番に回し飲みしていました。

1つの盃が1周するたびに、1種類の祝い肴を食べるのが決まりでした。

そのため、小・中・大の3種類の盃に合わせて、祝い肴も3種類必要だったんです。

昔は、この儀式が済んでから酒席に移っていきましたが、時代と共に式三献の儀式は廃れてしまい、「前菜は三種盛り」という形式だけが残ったとされています。

 

参考文献

現代語訳 史記 (ちくま新書)

武蔵と柳生新陰流 (集英社新書)

日本料理の贅沢 (講談社現代新書)

江戸料理大全: 将軍も愛した当代一の老舗料亭 300年受け継がれる八百善の献立、調理技術から歴史まで

日本料理の歴史 (歴史文化ライブラリー)

日本人はなにを食べてきたか (角川ソフィア文庫)

京都・瓢亭―懐石と器のこころ