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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

桃太郎と「日本神話」「陰陽五行思想」の関係が面白かったのでまとめてみた

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自宅の本棚がいっぱいになってきたので、週末に新しく本棚を買いに行くつもりです。

少し本棚を整理していたのですが、数年前に買った柳田国男の著書『桃太郎の誕生』が出てきたので、片づけを忘れて一気読みしてしまいました。

 

桃太郎の誕生 (角川ソフィア文庫)

桃太郎の誕生 (角川ソフィア文庫)

 

 

以前にも、陰陽思想について記事を書いたことがあったんですが

 

www.mannerstyle.jp

 

今回は、桃太郎と陰陽五行思想の関係について書いてみます。

 

 

 

日本一有名なおとぎ話

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桃太郎は、日本人なら誰しも一度は聞いたことがあるおとぎ話だと思います。

桃から生まれた桃太郎が、お婆さんからきびだんごを貰い、イヌ、サル、キジを家来にして、鬼ヶ島まで鬼を退治しに行く物語です。

この桃太郎ですが、古代大和政権が吉備国を平定する際の出来事が、物語のモデルになったという説があります。

物語が生まれた時期は、正確には分かっていないようです。

室町時代から江戸時代にかけて徐々に広まり、江戸時代になると『桃太郎』の本が登場したとされています。

 

どうして桃なのか

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『古事記』の中に、イザナギノミコトとイザナミノミコトの神話が書かれています。

男神のイザナギノミコトは、死んでしまった妻のイザナミノミコトに会いたくて黄泉の国に行くものの、腐り果てた妻の姿を見て逃げ出してしまいます。

夫が逃げ出したのに怒ったイザナミは、鬼に夫を追わせます。

追いつかれそうになったイザナギは、鬼に向かって髪飾りを投げました。

すると、髪飾りからエビヅルが生えてきて、鬼がそれを食べている間にイザナギは逃げ出しました。

また追いつかれそうになると、イザナギは櫛を投げつけました。

すると、櫛からタケノコが生えてきて、鬼がそれを食べている間に逃げることができました。

でも、鬼は諦めません。

どんどんイザナギを追いかけてきます。

黄泉平坂の坂の上に桃の木があったので、イザナギが桃の実を3つ取って投げつけると、鬼は今度は退散して、黄泉の国へと帰っていきました。

助かったイザナギは、桃の実に

「お前が私を助けたように、人々が苦しんでいるときには助けてあげなさい」

と言って、邪気を払う偉大な神という意味の「オオカムヅミノミコト」の名を授けました。

つまり、神代の昔から桃は鬼退治のシンボルだったんです。

 

桃の持つ力

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桃は桜と同じように、葉が出る前に一斉に花をつけます。

冬が終わり、春に咲く桃の花に人々は生命のエネルギーを感じんだと思います。

陰陽思想においては、桃は陽の象徴とされています。

一方、鬼は陰の象徴です。

つまり、陰の鬼を倒すためには、陽の桃が必要だったんです。

中国の古書「神農本草経」では、桃の種子には百鬼を殺す力があると伝えられています。

実際に、桃の種子には薬効があるとされていて、「桃仁(とうじん)」という漢方薬として使われています。

また、桃の花や桃の葉も生薬として利用されています。

桃の生薬は薬理効果が激しく、使用の際は注意が必要だそうです。

強い薬効を持っていることも、邪気を払うとされた理由の1つだと思います。

 

桃仁(とうじん)

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桃の種子の「桃仁」は、硬い核の中に入っています。

硬い核を割ると、中から桃仁が出てきます。

このイメージ、何となく桃太郎のおとぎ話にそっくりな気がします。

もしも桃太郎が、柔らかい桃の果実の中にいたら、おばあさんから包丁で切られてしまいます。

でも、硬い核の中にいたら、刃物で切られることはありません。

「桃を切ったら」ではなく「桃を割ったら」中から男の子が出てきた、というのが、桃太郎を語る上で大切な部分なのかもしれません。

もしかすると、桃太郎というのは、核の中から生まれた桃仁そのもののことなのかもしれません。

 

どうして桃から生まれたのか

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古来、桃には邪気を追い払う力だけでなく、長寿や子宝を授ける力もあるとされてきました。

現在も、桃仁には生理不順や更年期障害といった婦人病に効果ががあるとされています。

桃の字を木偏に兆と書くのは、子宝の「兆し」を意味し、子孫繁栄を願う意味があると考えられています。

また、古来中国では、女性が男性に桃を贈るのには特別な意味があったと言われています。

桃太郎の中でも、おばあさんが拾ってきた桃を、おじいさんと2人で食べたということになっています。

もしかすると、桃の核を割って出てきた桃仁を食べたおばあさんが、体調が良くなって赤ちゃんを授かったというのが元の話なのかもしれません。

 

なぜ、イヌ、サル、キジが家来なのか

鬼門と丑寅

円形方位盤(ケース付) 直径約170mm(1mm厚) ケース190mm×190mm

成長した桃太郎は、イヌ、サル、キジを家来にして鬼退治に向かいます。

この理由は諸説あるようですが、陰陽五行思想で説明できます。

昔から、丑寅(うしとら)の方角、つまり北東の方角は鬼門と言われ、邪気がやってくる方角とされていました。

邪気が丑寅の方角からやってくるという考えは、中国から伝わったものです。

中国は北方の騎馬民族に悩まされていました。

そんな騎馬民族の攻撃を防ぐために作られたのが、万里の長城です。

騎馬民族が攻めてくるのが、北東の方角。すなわち丑寅の方角だったんです。

また、鬼が牛のような角を生やして、虎皮のパンツをはいているのも、丑寅の方角の牛と虎のイメージに由来していると言われています。

 

陰陽五行と裏鬼門

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桃太郎がイヌ、サル、キジを連れて行った理由も、陰陽五行思想で説明できます。

陰陽思想では、鬼門の反対側の方角を裏鬼門と言います。

裏鬼門に当たるのは、未申(ひつじさる)です。

これだと、ヒツジとサルを家来にすることになってしまいます。

この謎を解くカギが、五行思想にあると思います。

五行では、「金」が「陽」を司っています。

五行とは天地万物を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの元素から成り立っているという思想です。

五行では、西の方位が「金」に当たるとされています。

西には、申、酉、戌が配置されています。

さらに、桃も「金」に対応します。

キビ団子のキビも、「金」に対応するという説があります。

つまり、陰陽五行思想における「陽」の意味を持つ「金」を使って、陰の象徴・鬼を退治する物語だったのかもしれません。

もっとも、イヌ、サル、キジを家来にした理由には、別な説もあります。

吉備津神社縁起物語によると、吉備津彦命が、犬飼部の犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)、猿飼部の楽々森彦命(ささもりひこのみこと)、鳥飼部の留玉臣命(とめたまおみのみこと)という三人の家来と共に、鬼ノ城に住む「鬼」である温羅を倒したとされています。

犬飼部、猿飼部、鳥飼部それぞれが、イヌ、サル、キジと表現されるようになったという説です。

 

日本人と桃太郎

ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)

室町時代から江戸時代にかけて、物語の骨子ができたとされる「桃太郎」。

子供にも分かりやすく、覚えやすいストーリーの中に、日本人の知恵や信仰がふんだんに盛り込まれている気がします。

太平洋戦争中は、戦意高揚や勇敢さの象徴として、桃太郎の物語が利用されました。

おとぎ話『桃太郎』を研究してきた作家や民俗学者はたくさんいます。

それだけ、日本人の心の奥底に訴えかける話なのかもしれませんね。

 

今回まとめる際に、参考にした書籍です。

絶版になっているものも一部ありますが、桃太郎の物語の深層に興味のある方は是非どうぞ。

 

 

桃太郎の誕生 (角川ソフィア文庫)

桃太郎の誕生 (角川ソフィア文庫)

 

 

 

桃太郎像の変容 (1981年)

桃太郎像の変容 (1981年)

 

 

 

昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学 (角川ソフィア文庫)

昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学 (角川ソフィア文庫)

 

 

 

陰陽五行と日本の民俗

陰陽五行と日本の民俗

 

 

 

現代語古事記: 決定版

現代語古事記: 決定版

 

 

 

桃太郎

桃太郎