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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

人間がやってはいけないとされている「4つの禁忌(きんき)」

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ここ数日、くしゃみと鼻水がひどかったので、今日は病院に行ってきました。

3年位前から花粉症の症状が出てきて、この時期は薬が欠かせなくなってしまったんです。

病院に行ったら、待合室に『鋼の錬金術師』が置いてあったので、久々に読んでました。

 

鋼の錬金術師 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

 

1巻、2巻あたりは、若干テーマが重い気がしますけど、面白いですね。

「死生観」や「人間とは何か」といった少し重いテーマですけど、ストーリーに惹き込まれてしまいます。

初期のストーリーでは、セリフの中に「禁忌(きんき)」という言葉が頻繁に出てきます。

難しい言葉ですが、その難しさを感じさせない分かりやすいストーリーでした。

そんなわけで今回は、「禁忌」について書いてみます。

 

 

 

禁忌とは

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禁忌とは、禁じられ、忌み嫌われる行為のことです。

禁じられている行為、してはいけない行為とは何なのか考えてみました。

大きく分けて、「犯罪行為」「道徳に反する行為」「戒律に反する行為」「礼儀に反する行為」の4つがあると思います。

 

犯罪行為

人を殺したり、他人の物を盗んだりするのは、昔から犯罪とされてきました。

古代から、その行為に対しては刑罰が課せられてきました。

犯罪を犯した人は、刑務所に入れられたり死刑にされたりして、社会から排除されてきました。

人間が犯してはならない、一番の禁忌ではないでしょうか。

 

道徳に反する行為

小さな頃から、嘘をつくことは悪い事だとしつけられることが多いと思います。

犯罪にはならなくても、「嘘つきは泥棒のはじまり」とも言われ、悪い事だとされてきました。

それは人の道、つまり道徳に反する行為になります。

 

戒律に反する行為

宗教によって、決められた「やってはいけないこと」があります。

仏教では、出家したら結婚したり、肉を食べることは禁止されている場合が多くあります。

また、イスラム教徒が豚肉を食べることも禁止されています。

ある宗教を信じている人にとって、戒律を破ることは「破戒」になります。

 

礼儀に反する行為

食事の際に大きな音を立てたり、結婚式に白い洋服を着て出席したり、葬儀に派手な洋服を着て参列したりすることは、礼儀に反する行為になります。

 

人類最初の禁忌破りとは

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「してはいけない」と言われると、こっそりやってみたくなるのが人間だと思います。

人類最初の禁忌破りは、アダムとイブの逸話ではないでしょうか。

『旧約聖書』によれば、神が最初につくった人間はアダムです。

神は土からアダムをつくり、鼻から命を吹き込みました。

旧約聖書の創世記には

「主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者になった」

とあります。

アダムは最初の人でしたが、孤独でした。

そんなアダムに、神は救いの手を差し伸べます。

「主なる神はいわれた。『人が独りでいるのはよくない。彼に合う助ける者をつくろう』」

神はアダムを深い眠りに落とし、肋骨の一部を抜き取って跡を肉で塞ぎました。

その肋骨からつくられたのがイブです。

神はアダムとイブをエデンの園に置き、木々に果実を実らせ、自由に食べても良いと告げられました。

ただ、一本の木の実は絶対に食べてはいけないとされました。

神が食べるのを禁じたのは、善悪を知る木の果実でした。

アダムとイブにとって、その果実は「食べてはいけないもの」、つまり、禁忌だったんです。

ある日、ヘビがイブそそのかしました。

「あれは知恵の果実だから、食べてみたら」

イブは誘惑に負け、ついに禁断の実を口にしてしまいます。

これが、人類最初の禁忌破りになります。

果実はイブの手からアダムに渡され、アダムもまた禁忌を破ってしまいます。

食べた瞬間、二人は全裸であることに気づきます。

慌ててイチジクの葉で下半身を隠しますが、そこに神が現われます。

「おまえたちは何をしている。どうして裸であることを知ったのだ」

禁忌を破ったアダムとイブはエデンの園から追放され、やがては土に帰る(死ぬ)存在であることを知らされます。

 

禁忌の意味

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創世記に書かれたこのエピソードは、人類が犯した最初の罪=原罪を語るものですが、禁忌がどのような意味を持つかを表現していると思います。

禁忌は、神の領域を守るものとしての意味を持っていると言えそうです。

神は、知恵を独占することで神として存在しているいう構図が読み取れます。

その禁忌を破り、知恵を得たアダムとイブは、楽園から追放されます。

それは同時に、アダムとイブが人として自覚を持って生き始めたということではないでしょうか。

禁忌を破るということは、目覚めや覚醒という意味もありそうです。

 

琉球神話と禁忌

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アダムとイブの楽園追放神話によく似た神話が、沖縄の古宇利島にもあります。

伊波普猷の『古琉球」のなかで「琉球の神話」として紹介されているものがありました。

 

古琉球 (岩波文庫)

古琉球 (岩波文庫)

 

 

大昔、古宇利島に1組の男女がいました。

二人は全裸で暮らし、毎日天から落ちてくる餅を食べていました。

そのうちに二人は気づきます。

「その日に食べきれなかった餅は、次の日のために蓄えておいてもいいんじゃないか」

これに気づいた日から、どういうわけか天から餅は落ちてこなくなります。

困った2人は、天に向かって歌をうたいながら懇願します。

 

たうたうまへされ、たくたうまへ

大餅やと餅お賜べめしようれ

うまぐる拾うて、おしやげやべら

 

(意味)

お月様、お月様

大きい餅を、太い餅をくださいまし

赤螺(あかにし)を拾うてあげましょう

 

でも、天から餅が落ちてくることはありませんでした。

その後2人は、海岸で貝を拾ったり魚を獲ったりと、働かなければならなくなりました。

ある日2人は、海馬が交尾するのを偶然見かけます。

初めて、男女のまぐあいについて知ったのです。

その途端、お互い全裸でいるのが恥ずかしくなり、クバの葉で陰部を隠すようになったそうです。

 

禁忌破りと目覚め

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アダムとイブの神話と、琉球神話に共通しているのは、分別を持ったことで「食の供給を断たれる」ということだと思います。

そして、自分たちで食べるものを探して生きていかなければならなくなります。

琉球神話には、禁断の実を食べるといった禁忌破りはありません。

でも、分別を持つことを天は許さなかったようです。

天の思惑に背くということが、禁忌破りになると言える気がします。

禁忌を破ることは、人としての目覚めや覚醒につながり、人間と自覚して生きることにつながっています。

ということは、「犯罪行為」「道徳に反する行為」「戒律に反する行為」「礼儀に反する行為」といった「やってはいけない」行為があることで、人間は人としての自覚が備わっていくような気がします。