マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

男性の身分や階級を象徴していたものが、徐々にファッションに変化していった「帽子」

f:id:manastylejp:20170330233201j:plain

少しずつ暖かくなってきたので、今週末は春物の洋服を出してみようと思っています。

帽子やマフラーといった小物が好きで、休日は帽子を被ることが多いんです。

そろそろ冬用の帽子やマフラーは片づけて、涼しげな帽子に替えてみようかなと思っています。

ついでに、帽子を被るのに少し長めの髪が邪魔なので、思い切って短くしてみようかと考えています。

そんなことを思ったので、今回は男性が帽子をかぶる理由について書いてみます。

 

 

 

帽子の始まり

f:id:manastylejp:20170330233329j:plain

帽子の起源は古く、原始時代から頭を覆う被り物があったと言われています。

当時は直射日光を避けたり、防寒だったりと、実用的な役割を持っていたようです。

紀元前4千年から3千年頃のエジプトでは、王が冠をかぶり、庶民は頭巾をかぶったいたことが、遺跡の壁画などから分かります。

同じように、古代中国でも身分の高い人は被り物をしていました。

帽子は、頭を守るものから次第に身分や階級を象徴するものに変化していったようです。

 

なぜ、帽子が身分や階級を象徴するものに変化したのか

f:id:manastylejp:20170330233520j:plain

帽子が身分や階級を表す重要な役割を持つようになったのは、人の体の中で一番目立つ「顔」の印象を大きく変化させるものだからだと考えられています。

帽子をかぶっているのとそうでないのでは、見た目が大きく変わります。

特に王冠のように、きらびやかなものを頭の上に乗せたり、烏帽子のような背の高い被り物をするだけで、印象が全く違ってきます。

古代の支配者層の人達は、帽子を権威の象徴だと考えていたと思われます。

 

権威の象徴からファッションアイテムへ

f:id:manastylejp:20170330233559j:plain

古代から中世にかけて、帽子は権威の象徴としてだけでなく、戦闘時の防具としても使われていました。

中世になると、ヨーロッパでは貴族が帽子のスタイルを競い合うようになりました。

帽子は身分や階級を表すアイテムから、徐々にファッションアイテムに変化していきます。

 

アメリカ大統領と帽子

f:id:manastylejp:20170330233712j:plain

アメリカの歴代大統領の中で、普段人前で帽子をかぶらなかったのは、第35代大統領のジョン・F・ケネディが最初だと言われています。

初代大統領のジョージ・ワシントンから第34代アイゼンハワー大統領までは、帽子姿の肖像画や写真が数多く残っています。

ケネディ後の大統領は、どういうわけか帽子をかぶることが極端に少なくなったようです。

アメリカの大統領就任式では、モーニング姿で正装するならわしがありました。

ケネディ大統領も、大統領就任式ではモーニング姿にシルクハットを着用した写真が残っていますが、就任後に帽子を被った写真は残っていないようです。

ケネディ大統領は、国民に対する自分のイメージを大切にした大統領でした。

そのため、大好きな葉巻を吸っている姿も、絶対に撮影させなかったそうです。

葉巻を吸うのは、アメリカでは富裕層の象徴でした。

そのため、国民にマイナスのイメージを与えるのを危惧したんだと思われます。

人前で帽子をかぶらなかった理由も、イメージ戦略の1つだったのかもしれません。

 

帽子をかぶる成人男性が少なくなった時代

f:id:manastylejp:20170330233824j:plain

ケネディ大統領の時代以降、アメリカの成人男性は、徐々に帽子をかぶらなくなっていったようです。

それには、いくつかの理由が考えられます。

ケネディが大統領だった当時のアメリカは、経済発展がめざましい時代でした。

アメリカ全体が裕福になるにつれ、国民のファッションも変化していきました。

帽子をかぶるという習慣も、「古臭い習慣」と考えられるようになったようです。

また、自動車が急激に普及したのも帽子が廃れていった原因のようです。

アメリカ国内で販売される車は、どんどん流線型のものになっていきました。

車の天井が低くなったので、帽子が邪魔になっていったんです。

このほかにもさまざまな理由が原因となり、帽子をかぶる成人男性は1960年代あたりからどんどん少なくなっていったとされています。

 

日本人と帽子

f:id:manastylejp:20170330234323j:plain

日本でも、古くから帽子をかぶる習慣がありました。

『古事記』や『日本書紀』には、冠や笠といった言葉が出てきます。

飛鳥時代には、『冠位十二階』という、朝廷に仕える臣下を12の等級に分け、地位を表す色分けした冠を授けるという制度が制定されました。

奈良時代頃からは、烏帽子が使われるようになりました。

烏帽子も、身分や階級によって形や色が決まっていたようです。

このように、日本でも帽子は身分や階級を表すアイテムとして使われていたようです。

昭和30年代前半頃までは成人男性が帽子をかぶる習慣がありました。

戦前は、「和服とソフト帽」や「夏は涼しい素材の着物とカンカン帽」といった組み合わせのファッションが、一般的だったようです。

サザエさんに出てくる、波平さんのようなスタイルの成人男性が、戦前の日本では至る所にいたんでしょうね。

昭和30年代以降、帽子をかぶる成人男性は少なくなります。

これはジョン・F・ケネディが大統領に就任したのとほとんど同じ時期になります。

ということは、ケネディが「帽子は古臭いもの」という、世の中に新たなファッションの価値観を生み出したと考えられる気がします。

 

「脱帽」という、帽子に関するマナー

f:id:manastylejp:20170330234615j:plain

19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパでは、山高帽をかぶるのが紳士の礼装とされていました。

当時のヨーロッパでは、帽子に関する次のような言葉が一般的でした。

 

「もしその人物が家の中に入って来て、帽子を脱ぐようなら真の紳士である。

帽子を脱がないのなら、紳士のふりをしているただの男。

そして、帽子をかぶっていない人物は、紳士のふりをすることさえあきらめている男である。」

 

「帽子の歴史」は「大人の歴史」なのかもしれません。

帽子をかぶることは、古代から中世にかけては身分や階級を表すものでした。

19世紀から20世紀にかけては、帽子は紳士の象徴であったのかもしれません。

休日に山高帽をかぶる勇気は流石にありませんが、帽子の似合う大人な男性にはとても憧れます。