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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

「日本人が箸を使うようになったのは、聖徳太子が普及を進めたから」という説を最初に唱えた人は誰なんだろう

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最近、聖徳太子に関する本を何冊か購入して読んでいます。

タイトルに惹かれて、思わず手に取ってみた本も2、3冊ありました。

どの本も、記録をもとに聖徳太子の実像や実績を推理して仮説を論じてあり、とても面白かったです。

聖徳太子が行ったとされることの1つに、「箸を日本で普及させた」というものがあります。

今回は、そんな聖徳太子と箸の普及について書いてみます。

 

 

 

箸の伝来

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箸は、7世紀頃までに中国から日本に伝わったとされています。

元々神事に遣うものとして伝来したため、儀式で使われたり身分の高い人が使うものででした。

箸を使って食事するようになる前の日本では、椎(しい)や柏(かしわ)の葉などに食べ物を盛り、手づかみで食べていたそうです。

3世紀に書かれた「魏志倭人伝」には、「倭人(わじん)は手食する」と、当時の日本人が箸を使わず食事していた記録があります。

7世紀に入って、小野妹子らが遣隋使として中国の文化を日本に持ち帰りました。

その際、箸で食事する文化も日本に伝来したと言われています。

 

隋の使節団と箸

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この箸食の文化を普及させようとしたのが、聖徳太子だと言われています。

でも、箸を使って食べることは、当時の人々になかなか受け入れられなかったそうです。

そんな折、小野妹子らが向かった第1回遣隋使の答礼のため、隋から使節団が日本にやって来ることになりました。

焦ったのが、聖徳太子です。

当時アジアの覇者であった隋の皇帝に対して、「日出ずる処の天子・・・」といった、挑戦的な内容の国書を送ってしまった後だったわけです。

隋の使者の歓迎会で、手づかみでものを食べる姿を見せてしまっては、

「偉そうな手紙を送ってきた国だが、箸も使えない野蛮な国ではないか」

と、使者から見下されてしまうかもしれません。

そこで聖徳太子は、「隋の使節団の歓迎会では、全員箸を使うこと」と決めました。

歓迎会当日まで、貴族達は箸の特訓です。

当日の宴会では、無事に出席者全員がちゃんと箸を使って食事したという記録が残っています。

ところが、これで全てが円満に解決したわけではありませんでした。

隋の使節団は、ちゃんと一般庶民の食事風景もちゃんと見ていたのです。

使節団の見聞録『隋書倭国伝』に、「倭国の庶民は手づかみで食事をしている」と記録されてしまいました。

この1件以降、箸は日本に広く普及していったとされています。

 

本当に聖徳太子が箸を普及させたのか

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聖徳太子と言えば、冠位十二階の制度や十七条の憲法を制定したり、仏教を取り入れた人物として知られています。

聖徳太子没後の、奈良時代に編纂された『日本書紀』の中には、聖徳太子という名は出てきません。

聖徳太子という名前が初めて登場するのは、太子の死後129年後に編纂された『懐風藻』だとされています。

その後平安時代に編纂された『日本三代実録』、『大鏡』、『東大寺要録』、『水鏡』等の記録の中でも、聖徳太子の名前が出てきます。

聖徳太子の没後100年以上経ってから、突然「聖徳太子」という名前が登場し、太子の数々の功績や奇跡のような逸話が登場しているのです。

こうした「歴史の空白」が起きるのは、当時の権力者が、自分達に都合の良い歴史を後世に残すために行う場合もあるようです。

現代の歴史学者は、残された少ない資料をもとに、様々な推察を行ってきました。

1つの説としてですが、聖徳太子という人物は実在しなかったのではないかという説もあり、いくつかの本が出版されています。

 

聖徳太子: 実像と伝説の間

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聖徳太子の真実 (平凡社ライブラリー)

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完本 聖徳太子はいなかった (河出文庫)

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聖徳太子は蘇我入鹿である (ワニ文庫)

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聖徳太子はいなかった (新潮新書)

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新史論/書き替えられた古代史 3 聖徳太子と物部氏の正体 (小学館新書)

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聖徳太子 四天王寺の暗号―痕跡・伝承・地名・由緒が語る歴史の真実

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伝説として語り継がれる聖徳太子像。

あくまで1つの仮説として、「聖徳太子が実在しなかったのではないか」という視点で書かれた本は、とても面白い読み物でした。

 

果たして、日本に箸を普及させたのは、本当に「聖徳太子」という人物だったのでしょうか。