マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

「トイレに唾を吐いてはいけない」2つの理由

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今日は車を運転しながらラジオを聴いていたら、植村花菜さんの曲『トイレの神様』が流れてきました。

 

トイレの神様(DVD付)

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この曲、2010年にリリースされたものだそうです。リリースから7年も経っていることになりますね。

思わず「懐かしいなー」なんて思いながら、曲を最後まで聴いていました。

『トイレの神様』を聴いて、トイレのマナーについて書きたくなったんですが、いろいろ調べてみたらトイレに関する俗信の方が、面白いものがたくさんありました。

そこで今回は、トイレに関する俗信について書いてみます。

 

 

 

妊婦がトイレを綺麗にすると、綺麗な子が生まれる

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日本では昔から、トイレ(便所)は神がいる場所だと考えられ、大切に祀られることがありました。

特に昔から言われてきたのは、「妊婦はトイレを綺麗にしなければならない」ということです。

妊婦がトイレを綺麗にすると、綺麗な子が産まれるとされてきました。

お産に関わる神様は、3人いるとされています。

「かまどの荒神」と「箒(ほうき)神」と「便所神」の3人です。

この3人の神が、お産に立ち会ってくれると信じられていました。

便所神は女性の神で、綺麗好きだと言われています。

手がないとか、目が見えない神だとされている場合も多いようです。

そのような神がいる場所に唾を吐くということは、とても罰当りなことになります。

綺麗好きな神だから、妊婦がトイレを綺麗にすると喜んで、お産を軽くしてくれると言われています。

また、トイレを綺麗にした方が良いとされていたのは、妊婦だけではありません。

歳を取った女性も、トイレ掃除をするのが良いと言われています。

綺麗に掃除することによって、寝たきりになって下の世話をかけることがなくなると言われてきました。

なお、昔の日本では、お産後にする「雪隠参り」という風習がありました。

これは、産後3日目か7日目に、新生児を抱いてトイレに参る風習のことです。

現在もこの雪隠参りの風習が残っている地域もあります。

出産に立ち会う神の中では、箒神も女性の神です。

箒で人をぶったり、箒をまたいでしまうと、お産が重くなると言われています。

 

トイレをまつる風習

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長野県の一部の地域では、年末からお正月にかけて「便所の年取り」という行事を行うところがあります。

これはまず、トイレをきれいに掃除することから始まります。

その後、家の主人が歳神様用の御膳と自分の御膳を持ってトイレの前に行き、ゴザの上に家族一同並んで座ります。

トイレのドアを開け、主人が「お世話になりました」と挨拶をします。

こうして便所の年取りを済ませた後、歳神様に御膳を供え、家族の年取りをする風習があったそうです。

また、茨城県の田井村では、6月26日を「手水場祇園(ちょうずばぎおん)」と呼び、うどんを作って食べる風習がありました。

その際、紙で女性の人形を作り、トイレの祇園様に供えていたそうです。

 

トイレに神が祀られる理由

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トイレにまつわる風習や伝承を調べて気づいたのですが、昔はトイレが

「この世とあの世を行き来できる空間」

と考えられていたんだと思います。

妊婦がトイレを掃除して、健やかな生命の誕生を便所神に祈るのは、魂がこの世にやって来る場面に関わる祈りです。

年配の女性がトイレを掃除して、寝たきりになって下の世話をかけることがないように便所神に祈るのは、あの世へ旅立つ場面に関わる祈りです。

盆や正月というのは、歳神様がこの世にやって来ると考えられていた日のことです。この日にトイレを祀るというのも、やはりこの世とあの世を行き来する大切な日を、神聖なものと考えていたんだと思います。

そんな大切な場所に、唾を吐いて穢すなんて、もってのほかですよね。

また、昔は汲み取り式のトイレがほとんどでした。

子供がトイレにはまったら、名前を変えるという風習も各地にありました。

トイレにはまったということは、あの世への入口へ一歩足を踏み入れたということになります。

縁起が悪いので、再生のために名前を変えるというゲン担ぎを行う人も多かったそうです。

 

トイレに唾を吐いてはいけない、2つの理由

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トイレは、排泄するための場所です。

汚物を出す場所なのだから、口から唾を吐いても問題ないのではないか、と考える人もいるかもしれません。

でも、縁起の視点で考えると、口からのものと下からのものは全く違うものと考えられていました。

下からの汚物を排泄する場所に、口から唾を吐くことで、逆に口の中に「下から排泄された、あの世へつながるべき忌むべきもの」が入ってきてしまうと考えられていました。

「トイレに唾を吐いてはいけない」

とされているのは
「神を穢してはいけない」という理由と、「忌むべきものが口に感染しないように」
という2つの理由があったようです。