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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

日本のしきたりは、陰陽思想の影響を受けているものが多い気がする

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3日前に本を買ったのですが、面白くて一気に読み終わってしまいました。

もっと詳しく知りたくなったので、今日は関連書籍を探しに本屋に行ってきました。

買ったのは、陰陽師の安倍晴明に関する本です。

謎が多くて、魅力的な人物ですね。

安倍晴明に関するいろんな本を読み進めるうちに、ちょっとした偶然があったことに気づきました。

私が最初に本を買ったのは、3日前の2月21日。この日は安倍晴明の誕生日だったそうです。

どうでもいいような小さなことですが、何となく嬉しくなりました。

そんなことがあったので、今日は陰陽思想と日本のしきたりの関係について書いてみます。

 

 

 

陰陽とは

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陰陽思想が生まれたのは、古代中国だとされています。

宇宙にある万物すべてのものは、陰と陽の2つの性質に分けられるという思想です。

2つの性質は相対的なもので、どちらか1つだけでは存在できないと言われています。

陰は、静か、ゆったり、固まる、冷たいという性質を持っているものとされています。

対して陽は、速い、変化する、温かいという性質を持っているとされています。

例えば、「日月」という言葉があります。この場合、月が陰になり、日は陽になります。

同じように、男女、上下、左右、前後、紅白といった対語も、陰陽の思想を元にしたものです。

こうした対語に共通している決まり事は、先に並ぶ字が「陽」で後に並ぶ字が「陰」ということです。

この決まり事が、日本古来から伝わる「しきたり」の中に、今も生き続けているんです。

 

雛人形と陰陽思想

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左右という言葉について考えてみます。

陽に当たるのは、「左」です。

日本古来の作法では、左が上席とされていました。

ここでいう左とは、当人から見て左ということです。

正面から見ると、向かって右側のことになります。

これは、ひな人形を飾る際のしきたりでもありました。

内裏様の男雛と女雛の位置は、時代や地域によってまちまちです。

現代は、一般的に向かって左側が男雛、右側が女雛と飾る場合が多いようです。

地域によっては、逆の位置に飾るところもあるようです。

江戸時代の終わりまでは、向かって右側に男雛を飾ることが多かったそうです。

これは、陰陽思想を元にした「左右」という言葉があるように、左側(向かって右側)が上席とされていたからなんです。

明治時代になると、国際儀礼(プロトコル)が日本に入ってきます。

国際儀礼では、右が上席とされています。

明治時代以降、天皇・皇后両陛下は、国際儀礼に合わせて並ばれることが多くなりました。

そのため、内裏様を飾る際も、天皇・皇后両陛下と同じ並びでないとおかしいのではないかとの意見が出るようになりました。

昭和に入ってから、男雛が向かって左、女雛が向かって右に並べるようにと、東京の雛人形卸組合が決めたそうです。

 

紅白と陰陽

長井紙業 江戸長 手漉和紙金封・赤白耳白花結初玉入 DK396

紅白という言葉について考えてみます。

陽に当たるのは、「紅」です。

最近あまり見ない気がしますが、紅白まんじゅうというものがあります。

紅白まんじゅうの場合は、「紅」が陽になります。

左右という言葉の意味と合わせて、「紅」を相手の左側(向かって右側)になるように並べるのが正しい並べ方とされています。

箱に入れる際も、開けた際に紅が左側になるように入れるのが正しい並べ方になります。

同じように、お祝いの際に使用するのし袋の水引も、向かって右側が赤になっています。

気になったのは、大晦日の紅白歌合戦です。

陰陽思想で「紅白」「男女」という言葉を考えると、紅組が男で白組が女になるはずです。

何か特別な事情があったのか、それとも「紅」という字が持つ女性的なイメージを尊重したからなんでしょうか。

 

和食の椀と陰陽

J-Story 3.8汁椀ペア 桐箱 AMJ-4T-703

赤黒という言葉について考えてみます。

陽に当たるのは「赤」です。

陰陽思想で考えると、赤黒の椀を夫婦で使う際は、赤が男性用、黒が女性用になります。

老舗の料亭では、汁物の椀を男性が赤色、女性は黒色のもので出してくれるところがあります。

また、昔からの伝統を守っている家では、お正月の雑煮も、男性には赤の椀、女性には黒の椀で出すところも多いようです。

色の持つイメージからすると、逆ではないかと一瞬戸惑ってしまいますよね。

 

船と陰陽思想

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出入りという言葉について考えてみます。

陽に当たるのは「出」です。

玄関で履物を脱ぐ際は、つま先を外に向けて揃えるのが作法とされています。

昔からこの作法を「履物を出舟の形に揃える」と表現してきました。

これは、船を停泊させる際に、すぐに出航できるように舳先を海の方に向けておくことに由来しています。

また、居酒屋などでは、舟形の器に刺身が盛られて出てくることもあると思います。

舟形の器は、舳先が左側に向いたもの(向かって右側を向いたもの)を出舟と呼び、反対を向いたものを入舟と呼びます。

舟形の容器は、花を生ける際にも使われることがあります。

正月になると、七福神を乗せた宝船の飾りも売られていることが多いと思います。

ほとんどの場合、入舟になっているはずです。

お客がたくさん入るように、宝がたくさん入るようにとの願いを込めて、入舟の形に作られることが多いと言われています。

 

対語の面白さ

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ここに挙げた以外にも、意味が相対応する熟語はたくさんあります。

「大小」「長短」「兄弟」「父母」なんてものもありますよね。

全ての対語が陰陽思想の影響を受けているわけではありませんが、言葉が持つ意味や成り立ちを想像してみるのも、面白いと思います。

陰陽思想とは、陰と陽のどちらが優れているかという思想ではありません。

様々な観点から、万物を陰と陽の2つに分けて考えるという思想です。

江戸時代の朱子学や陽明学、儒学に大きな影響を与えた陰陽思想。

調べたらきりがないくらい、日本の文化に深く影響しているんだと思います。