マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

英国紳士と武士の、「感情表現」の方法は似ている気がする

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初対面の方から

「分かりやすい性格ですね」

と言われることがよくあります。

私は喜怒哀楽の表現がストレートで、隠しているつもりでも顔に出てしまうようです。

今日も「食べているときが一番幸せそうですね」って言われました。

美味しいものを食べてるときは、とっても幸せです。

「武士は食わねど高楊枝」

という言葉がありますが、体面を重んじつつやせ我慢するのは、私は苦手なようです。

自分では、そんなに感情表現がストレートだとは思っていないんですけどね。

そんなことを考えたので、今日は英国紳士と武士に共通していると思われる「感情表現」について書いてみます。

 

 

 

英国紳士の感情表現

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英国紳士は、喜怒哀楽の情を表に出さないのが良いとされてきました。

その心がけは、お洒落にも影響を与えています。

19世紀後半頃から、英国紳士の服装は黒を基調としたものになりました。

現代のビジネススーツの元になったのは、この頃のスタイルだと言われています。

黒ずくめの服装が好まれた理由は、できるだけ目立たず、感情表現が抑えられることにあったそうです。

また、同時代英国紳士の間では、髭を伸ばすのが流行していました。

これも、顔の表情を隠すことが目的だったからだと言われています。

感情をできるだけ表に出さないのが、本物の「ジェントルマン」なのかもしれませんね。

 

武士の感情表現

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武士の家庭に生まれた男子は、品性を磨くことを第一に教育されました。

剣術や弓術、馬術、書道、道徳、儒教などを通じて、武士としての品格を身につけるのが当然のことと考えらえていました。

そんな武士は、感情を表に出すのは男らしくないことだとされていました。

品格を身につけるための様々な鍛錬を通じて、自分の苦しみや悲しみを表情に出さないように訓練されました。

感情を表に出さないのは「喜怒を色に表さず」と言われ、武士のたしなみとして称賛されていたんです。

 

感情を表に出さない理由

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英国紳士が喜怒哀楽の表現を表に出さない理由は、相手への心遣いだったそうです。

紳士とは、元々騎士階級の子孫のことを指していました。

「騎士道精神」に則り、命がけで国を守り秩序を守る気高い精神が、代々受け継がれてきた家系だったんです。

そんな紳士の家系では、他人に敬意を払い、自分自身にも敬意を払うことが良しとされていました。

武士の場合は、孔子の思想の影響を強く受けているようです。

「仁」「礼」といった教えの中に、自分の苦しみや悲しさを表情にすることで、他人の心の平穏をかき乱してしまう、というものがあります。

「武士道」でも、他人への配慮のために、「怒」「哀」といった負の感情は表に出さない方が良いとされていたようです。

 

敢えて「言葉にしない」こともある

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19世紀後半の英文学では、男性作者が作品の中に敢えて書かなかったものがあります。

色の名前と、花の名前です。

全ての文学作品に共通しているわけではありませんが、そうしたものに関心を持つのことは紳士らしくないと考えられていたそうです。

一方、日本には「花は桜木、人は武士」という言葉があります。

桜は、古来日本人に好まれてきた花です。

桜の花は、自然のおもむくままに美しく咲いて散ります。

それはまるで、いつでも散る準備ができているかのようです。

美しく、はかなげで、風で散ってしまう桜。

武士は多くを語ることを好まず、桜の花に自らの道徳の規範を見出していたんだと思います。

英国紳士と武士では「花」に対する姿勢は違うのかもしれませんね。

でも、「ジェントルマンらしく」「武士らしく」という価値観をつくるのに、花が大きな影響を与えていたようです。

 

相手のことを考えた「感情表現」

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英国紳士が心がけていた「騎士道」。

武士が自らの道徳の規範としていた「武士道」。

どちらにも共通しているのは、感情を表に出しすぎるのはよくないということでした。

「喜怒を色に表さず」という言葉があります。

感情を表に出さないことは、昔は賞賛の対象だったようです。

自分の苦しみや悲しさを表情に出すことは、他人の心の平穏をかき乱してしまうことになると考えられていました。

日々、自分自身を律するために様々な鍛錬にいそしみ、礼節を守って暮らすことで、紳士も武士も民衆の模範となっていたんだと思います。

 

現在は、感情を表に出さないことよりも、感情表現豊かな方が好まれている気がします。

友人関係や家族関係、夫婦関係でも、何を考えているか分からない相手と一緒にいるのは、辛いし面白くないですよね。

親しい人と一緒にいる際は、喜怒哀楽の感情表現を伝える方が、より親密になれる場合も多いと思います。

あまり「怒」や「哀」を伝えすぎるのは、よくないかもしれませんけどね。

「他人の心の平穏をかき乱さないために」感情表現を抑えていた英国紳士や武士。

そんな民衆の模範になる立場だった人たちも、他人ではなく身内や親しい人の前では、やっぱり笑ったり怒ったりすることもあったんでしょうね。

ジェントルマンや武士も、人間ですから。