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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

「教会の鐘」も「グラスをカチリと合わせる」のも、悪魔を追い払うためのもの

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小学生の娘がいるんですが、今日は『ファーブル昆虫記』を読んでいました。

週明けに、学校で昆虫をテーマにした授業があるらしく、それで読んでいたみたいです。

普段の生活では虫に触れる機会がほとんどないので、娘は虫に興味がない上、苦手なようです。

読み終わった『ファーブル昆虫記』を貸してもらって読んだのですが、あとがきに面白いことが書いてありました。

「当時のヨーロッパの人たちは、昆虫は悪魔が造ったものだという迷信を持っていた」

確かに、よく見るとグロテスクな造形の昆虫もいますよね。

そんなあとがきを読んだので、今日は「悪魔」と「マナー」の関係について書いてみます。

 

 

 

乾杯と悪魔

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乾杯の際、グラスをカチリと合わせるのには、いくつかの理由があるとされています。

昔のヨーロッパでは、酒に毒を入れて相手を毒殺することが多くありました。

そのため、パーティや食事の席は油断ならない場だったんです。

こうした疑いを晴らすべく「私は毒を入れたりしていませんよ」と、主人が自分のグラスの酒を相手のグラスに注ぎ、相手のグラスから注ぎ戻すことを行っていました。

こうして主人と相手の酒を混ぜてから、同時に飲み干す習慣があったんです。

この習慣が形だけ残って、今もグラスをカチリと合わせる乾杯が行われているとされています。

他にも、カチリという音が悪魔を追い払うと信じられていました。

中世ヨーロッパでは、お酒の中に精霊(スピリット)が宿っていると信じられていました。

今でも英語では、蒸留酒のことをスピリットと呼びますよね。

この精霊(スピリット)が体の中に入ると、体の中で悪いことをすると言われていました。

だから飲む前に「カチリ」と音を鳴らすことで、悪魔を追い払う必要があったそうです。

 

教会の鐘と悪魔

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同じように、悪魔を追い払うのが目的で音を鳴らすことがありました。

アメリカやヨーロッパの教会では、鐘を鳴らすことで聖域から悪魔を追い払うとされていました。

現在は、「祈りの時間を知らせるために鐘を鳴らす」と説明されることも多いようです。

本来は、悪魔を駆逐するために鳴らす意味があったそうです。

そう考えると、除夜の鐘も似ているかもしれませんね。

除夜の鐘は、108の煩悩を取り除くために撞(つ)くと言われています。

 

年齢と悪魔

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初対面の相手や、女性に年齢を聞くのは失礼だとされています。

これは日本だけでなく、欧米でも常識とされているマナーです。

昔のヨーロッパでは、年齢や自分の町の人口、自分が持っている財産を他人に教えることは、悪魔の力にそれらを委ねてしまう事になると考えられていました。

年齢や財産などの個人情報を、悪魔に知られることで災いが降りかかると信じられていました。

今も、ユダヤ人は年齢を聞かれた際は、マジックナンバーを唱えた後に教えるという習慣が残っています。

 

鉢植えの花と悪魔

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病人のお見舞いの際、鉢植えの花を贈るのは良くないとされています。

「根づく」という意味になるので、お見舞いで鉢植えの花はタブーだと言われています。

でもこれは、日本だけの習慣ではないんです。

本来は、西洋の迷信が元になってできた習慣なんです。

古代から、ヨーロッパでは花の陰や根には悪魔が隠れていて、病人に取りつく機会を狙っていると信じられてきました。

そのため、欧米では昔から病人のお見舞いに鉢植えの花が避けられてきました。

日本では、明治時代になってからこの迷信が広まったと言われています。

 

悪魔とは何なのか

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乾杯の際、毒を入れていないことを証明するために、お酒を混ぜて飲み干す習慣が変化し、グラスをカチリと合わせるようになったという一説。

精霊(スピリット)が体内に入る際、悪魔を追い払うためにグラスをカチリと合わせるようになったという一説。

自分の年齢や財産を、悪魔に知られると災いが起こると信じられていた時代。

花の陰や根に悪魔が隠れているという迷信。

暗殺や毒殺が簡単に行われていた時代だったからこそ、こうしたマナーや迷信が生まれたんじゃないかと思っています。

身近に潜む「悪魔」から自分の身を守るために、知恵を絞って生み出されたマナーは、他にもたくさんあるのかもしれませんね。