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マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

『最後の晩餐』は、本当は寝ながら食べていたのかもしれない

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今日は寒かったので、Amazonビデオを利用して家族で映画を観ていました。

ダ・ヴィンチ・コード (字幕版)

ダ・ヴィンチ・コード (字幕版)

 

数年前に公開された映画ですが、『ダ・ヴィンチ・コード』面白かったです。

レオナルド・ダ・ヴィンチの有名作品の数々が出てきて、ストーリーに魅入ってしまいました。

上映されて数年経っているので、映画のレビューをするには遅すぎるかなと思いまして。

そこで今回は、『最後の晩餐』に関する疑問と食事のマナーについて書いてみます。

 

 

 

『最後の晩餐』とは

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最後の晩餐とは、新約聖書に記述されている出来事のことです。

イエス・キリストが処刑される前夜に、12人の使徒と共に摂った夕食、またその夕食の席で起こったことを指します。

この夕食の場で、使徒の1人がイエスを裏切ることが告げられます。

また、使徒達が自分の苦難に際して逃げ散る事も予告されます。

12人の弟子達はこれを聞いて動揺するのですが、その場面を様々な画家達が絵画に表してきました。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』

ポスター レオナルド ダ ヴィンチ 最後の晩餐

レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』は、ルネッサンス美術の代表作と言われています。

絵は、ミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁画として描かれたもので、420 x 910 cmという大きなサイズです。

1495年から制作を開始し、1498年に完成したと言われています。

世界遺産に登録されており「レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院」として登録されています。

 

『最後の晩餐』の時代考証

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最後の晩餐と言えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画をイメージする人も多いと思います。

でも、キリストが生きていた時代には、テーブルに座って食事をする文化はなかったようです。

たとえば、同時代のギリシア歴史を記した本を読んでみても、椅子に座ってテーブルに向かうというものはほとんど出てきません。

哲学者達が議論し合う際は、地面に座って向かい合いながら議論し合っていたようです。

食事は、腹這いになったり横向きに寝て食べていたそうです。

事実、古代ギリシアからイスラエル周辺で出土する遺跡を調べてみると、食堂は寝て食べるようにできています。

 

横臥している『最後の晩餐』の絵画

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6世紀頃に描かれた、最後の晩餐があります。

この絵では、キリストと12人の弟子が、寝椅子の上に横に寝そべるようにして食卓を囲む姿が描かれています。

食事の際に、ナイフやフォークが一般的に使われるようになったのは、1600年代に入ってからです。

そのため、キリストの時代には指を使って食べていました。

つまり、本来の最後の晩餐は

「腹這いか横向きに寝そべりながら」「手で食事をしていた」

と考えられるのではないでしょうか。

 

キリストはどの位置に座って(寝そべって)いたのか

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レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』では、キリストが真ん中に座って、12人の弟子が6人ずつ両側に分かれて座っています。

先に挙げた、6世紀ごろに描かれたとされる古い『最後の晩餐』では、キリストが向かって左の端にいます。

古代から続く西洋マナーの視点から考えると、キリストは向かって左端の席にいたのではないかと考えられます。

西洋では、古くから「右(right)」に「聖なる」とか「正しい」という意味があるとされてきました。

だから右側は、聖なる人や正しい人、敬意を払われるべき人の場所とされています。

この考え方は現在も残っており、国際儀礼(プロトコル)という、国家間の儀礼上のルールで使われています。

国際儀礼上では、右側が上位とされているんです。

こうした考え方は、ルネッサンス期前からありました。

ではなぜ、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』では、キリストを中央に囲んで、テーブルを使った食事風景が描かれたのでしょうか。

 

遠近法と左右均整の方式

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絵画だけでなく、発明や音楽・土木・天文学など、様々なジャンルで天才的な才能を発揮した、レオナルド・ダ・ヴィンチ。

何事にも研究熱心な天才だったんだと思います。

『最後の晩餐』においても、キリストが寝ながら食事していたと思われる時代背景や、弟子がキリストの右側に座る可能性が薄いということを、本当は知っていたのではないでしょうか。

ルネッサンス期という時代を考えると、絵画の技法で遠近法や左右均整の方式といったものが少しずつ使われるようになってきました。

ダヴィンチが、遠近法を始めとしたいくつかの技法を確立したと言われています。

当時としては最新鋭で画期的だった絵画技法の数々。

ダヴィンチは、そんな技法を『最後の晩餐』に取り入れることを優先したのではないでしょうか。

遠近法を使って中心部にフォーカスを置く構図を考えると、どうしてもキリストが中心になったんだと思います。

教会を訪れる人や絵画を観に来る人の事を考えると、横になって食べる構図よりも、椅子に座ってテーブルに向かう構図の方が都合が良かったのではないでしょうか。

 

西洋マナーの視点から『最後の晩餐』を観ると、そんなことを考えてしまいました。

絵画や美術作品を鑑賞する際、作品の解釈に正解は無いと思っています。

作品に触れた人の感性と、作品を創った作者の感性が出会った際に、どう解釈するかは人それぞれなのではないでしょうか。

時代を超えて多くの人を魅了する、ダヴィンチの『最後の晩餐』。

いろんな人の解説や解釈を読み始めたんですが、凄く面白いですね。