マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

「小指が立つ」仕草が気になる人は、指を使って食事をしていた時代の名残だと思えばいいのかも

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グラスやマイクを持つ際に、小指が立ってしまう人がいますよね。

小学生の娘がいるんですが、最近グラスを持つ際に小指を立てるようになったんで、それとなく聞いてみました。

「そういえば、仲の良い友達はいつも小指を立ててコップを持っていたから、癖が移っちゃったのかも」

なんて言ってました。

本人は、無意識にやっていたみたいです。

小指を立てる仕草って、女性的な仕草に見られがちですよね。

インターネットで検索すれば、心理学的な意味を解説した記事をたくさん見つけることができます。

でも、昔は小指を伸ばす習慣があったということを解説した記事は一切見つかりませんでした。

そんなわけで今回は、小指と食事に関するマナーについて書いてみたいと思います。

 

 

 

手づかみで食べて良いもの

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ヨーロッパで発行された多くのマナーの本では、食事の際に手で食べても良い食べ物が紹介されています。

まずはアスパラガス。ナイフとフォークでは扱いにくいので、例外的に手で持って食べても良いとされています。

ほとんどの本で、アスパラガスを手で食べるのはマナー違反ではないと書かれています。

他にも、ベーコンも指でつまんで食べても良いとされています。

カリカリに焼いたベーコンは、フォークで突き刺すのが難しいので、指でつまんでも良いそうです。

パンをナイフとフォークで小さくカットする人はいませんよね。当然、パンも手づかみで食べて良いものだとされています。

 

ナイフとフォークが使われるようになった時代

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以前にこのブログで、フォークの歴史について書いたことがあります。

 

www.mannerstyle.jp

 

フォークを使うようになった時代では、指を使って食べていた頃の習慣を、気づかないうちに続けていた人が多かったそうです。

フォークやスプーンを持つ際に、小指を曲げないで伸ばしたままにするのも、指を使って食べていた時代の習慣の名残です。

指で食べ物を口に運んでいた時代は、指を1本か2本汚さないよう、伸ばしておく習慣がありました。

1500年代のヨーロッパでは、上流階級の人たちは指を3本(親指、人差し指、中指)使って食事をするのが一般的でした。

指を5本全部使って食べるのは、幼児や下層階級の人の習慣だとされていました。

今でも、インドやスリランカで指を使って食事をする際は、右手の指3本を使うのがマナーだとされています。

3本の指を使って食べていた習慣がそのまま残って、スプーンやフォークを持つ際に薬指や小指を曲げずに伸ばしたままにする人たちが多かったと言われています。

 

小指と優しさ

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フォークが使われ始めた時代であればまだしも、現代では

「小指が立つのは、指で食事していた頃の癖が残ってるからなんですよ」

なんて言っても、誰も納得してくれませんよね。

私たちは幼い頃から、スプーンやフォーク、箸を使って食事してきたわけですから。

グラスやマイクを持つ際に小指が立つ理由は、物を優しく持とうとするからだと言われています。

小指は、力を入れるためにとても重要な指なんです。

野球のバットやゴルフクラブをしっかりグリップしようと思ったら、小指に力を入れて持つことになります。

握力が必要となる動きでは、親指の次に小指が重要とされています。

グラスや食器を持ち上げる際は、緊張して力を込める必要はありませんよね。

力強くグラスを持ち上げて、ドンとテーブルに置く人は少ないと思います。

メガサイズのビールジョッキであれば、話は違いますけど。

グラスを扱う際は、力強さよりも優雅さや優しさが求められてきます。

グラスを丁寧に扱おうとすると、自然と小指の力が抜けてしまいます。

親指・人差し指・中指の3本の力だけで、十分持ち上げられるんです。

無意識にグラスを優しく丁寧に扱おうとすると、自然と小指がグラスから離れて「小指が立った状態」になってしまうんだと思います。

 

手のつくりと自己顕示欲

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他にも、小指が立つ理由は「バランスを取るため」とか「自己顕示欲の強い人ほど、無意識に小指を立てる」なんて説があります。

身体のつくりや心理学に関しては素人なので、そうなのかもしれませんね、としか言いようがありません。

食事の歴史やマナーの観点から言えるのは、3本の指を使って食事をしていた時代の名残として、小指を立ててフォークやスプーンを持つ人たちが少なからずいたということです。

他にも、ティーカップを持つ際に小指を立てておけば、音を立てずにカップを置けるから上品に見える、ということもよく言われていますし、それが正しいマナーだと紹介している記事をよく見かけます。

「マナーとは、相手に不快な思いをさせないためのもの」というマナーの本質を考えると、小指を立てる仕草を正しいマナーとして紹介するのは、いささか問題があるかもしれませんね。

他人の小指、特に男性の小指が立っているのを気にする人もいますから。