マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

勘違いから生まれたとされている「畳の縁(へり)を踏んではいけない」という作法

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幼い頃、両親から「畳の縦横を、同じ歩幅で歩く練習をしなさい」と言われた時期がありました。

何のためにそんな練習をするのか、当時は意味も分からずやっていました。

今思えば、それは日本古来の礼法の教えに則った教育だったようです。

その理由について、今回は書いてみたいと思います。

 

 

 

勘違いから生まれた作法「畳の縁(へり)を踏んではいけない」

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諸説ありますが、日本古来の礼法においては、「畳の縁を踏んではいけない」という決まりごとはないそうです。

踏まない方がいいけれど、別に踏んでも構わないんです。

昔の畳は、縁が現在のものよりも高く盛り上がっていました。豪華な布を使用したり、家紋を入れていた縁もあり、つまづきやすかったんです。

昔は、客人にお茶や料理を運ぶ際、盆を高い位置に持って運んでいました。目の高さに盆を持ち、自分の息が料理にかからないようにする「目通り」という持ち方や、肩の高さに持つ「肩通り」という持ち方があります。これらは主に、神仏に捧げる際や儀式で用いられた盆の持ち方でした。

料理を運ぶ際は、胸の高さに持つ「乳通り」という持ち方が主に用いられました。

このように高い位置で盆を持つと、足元が見えなくなりますよね。

慣れていないと、畳の縁につまづいて、盆をひっくり返してしまう恐れがあります。

そこで、下を見なくても畳の縁までの距離感が分かるよう、礼法を学ぶ人は、畳の縦横を歩いて、距離感を養う修練をしていたそうです。

畳の距離感を体で覚えたら、畳の縁を踏まなくても済むようになりますよね。

この修練を見ていた人が「礼法を学んだ人は、畳の縁を踏まないぞ。畳の縁を踏まないのが、正しい作法なんだ」と勘違いしてしまったそうです。

 

茶道における畳の縁

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茶道では、畳の縁を境界線として用います。

畳の縁が、亭主と客を分ける基準として考えられているそうです。

そのため、茶道では畳の縁を踏んではいけないと言われています。

あくまで、茶道においては、です。

 

現代は「畳の縁を踏んではいけない」のは常識?

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インターネットで検索したり、マナーや作法のHow To本を読むと、「畳の縁を踏んではいけない」というのは常識的なマナーとして紹介されていますね。

踏んではいけないとされている理由も

  • 縁の布は痛みやすいので、痛めないように。
  • 個人の境界線、部屋と廊下の境界線の意味を持つ「結界」として考えられていたから。
  • 家紋の入った縁もあるため、その家を敬うため。

など、様々なものが挙げられています。

これだけ浸透していると、「本当は踏んでもいいみたいすよ」なんて言うのは、勇気がいりますよね。

こうなると、畳の縁は踏まないようにしておいた方が良い気がします。

マナーや作法というのは、自分が恥をかかないためのものではなく、相手に対する思いやりを行動に表したものだと考えています。

だから、和室に通された場合は、その家人を敬う意味で、できるだけ畳の縁は踏まない方がいいのかもしれませんね。

 

敷居は、踏んではいけない

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畳の縁を踏んでも、本来はマナー違反ではないのかもしれません。

でも、敷居は踏んではいけないものとされています。

その理由は、敷居を踏み続けることで変形すると、障子やふすまの滑りが悪くなるからだと言われています。

畳の縁が痛んでも、取り換えはできますよね。でも、敷居が変形してしまうと、元に戻すのは大変な作業になってしまいます。

敷居を踏んではいけないとされるのは、家を大切に扱うという合理的な理由があったようです。

 

 

ブログを書きながら、休憩がてらに久々に畳の周りを歩いてみたんですが、妻から「宇宙人でも召喚しようとしてんの?」と冷たい一言を浴びせられたんで、もう今日は書くの辞めよ。