マナースタイル★MannerStyle★

ビジネスコンサル兼マナー講師が、「マナー」「礼儀」「作法」「しきたり」の由縁について、調べたことをまとめたブログ。単なる備忘録です。

日本人にとって、「塩」は特別な存在

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日本料理の板前さんと話をしていたのですが、調味料についていろんなことを教えてもらう機会がありました。特に、塩についてはとても興味深い内容でした。

「塩の使い方は、簡単なようで難しいですね。食材の持ち味を最大限に引き出したり、旨味を引き出すのには、塩は欠かすことができません。隠し味として塩を使うことも多いんです。ほかにも、野菜の水分を抜いたり、保存のために使用することもあります。魚の尾ひれに化粧塩をしなきゃ、姿焼きは美しく仕上がりませんしね。塩がなけりゃ、いい料理はつくれませんよ」

料理で塩を上手に使うのって、難しそうですね。経験を積んだ料理人ほど、上手に食材の旨味を引き出せるんでしょうね。

考えてみたら、塩は料理以外でも使われることがありますね。

今回は、そんな塩の使い方について書いてみました。

 

 

 

神道における塩

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昔から、塩には邪気や穢れを取り除く力があると言われてきました。

これは、日本の神道の思想にもとづいています。

周囲を海に囲まれた日本では、古代から海の向こうに神の常世の国があると信じられていました。

海が近い地域に住んでいる人たちの間では、海水を使った禊(みそぎ)が古くからおこなわれていたそうです。

『古事記』などの神話でも、海水を使って邪気と穢れを取り除く逸話がありますね。

伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、妻である伊弉冉尊(いざなみのみこと)がいる黄泉の国へ行った後、自分の体についた死の国の穢れを落とすため、海水につかって禊を行うという話があります。

ここでの禊ぎとは、黄泉の国からこの世に戻るための再生の儀式(黄泉がえり)です。

この儀式に海水が使われたことを起源として生まれたのが、「塩で清める」行為だと言われています。

 

穢れ(けがれ)とは

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神道でいう「穢れ」とは、「気枯れ」とも書きます。気が枯れてしまった状態、つまり生命力が枯れかけている状態のことです。

生命力が枯れ続けると、いずれ「死」が訪れます。

穢れを落とす、すなわち生命力を回復させるためには、昔の人々は海にその力があると考えました。

海は、地球上のすべての生き物が還る場所になりますよね。陸上に住む動物や植物が死ぬと、まずは土に還ります。雨が降ると、その土の中を水が通り抜け、海へと繋がります。

海が命の源だと言われる理由、そして海という字がサンズイ(水)が人の母と書く理由は、そんなところから来たのだと思います。

そんな海の水から採れる「塩」は、地球上のすべての成分を含んだ、命の結晶なのかもしれませんね。

 

清めの塩

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相撲では、取組の前に力士が土俵に塩をまきますよね。

相撲は、日本古代の神事が起源の競技だとされています。昔は、神に奉納する神聖な儀式だったんです。

そんな神聖な儀式の前に、地中の邪気を祓っておくために、塩をまくようになったそうです。

 そういえば、以前はお葬式に参列したら「お清めの塩」が渡されることがありましたね。最近は少なくなりましたが、これは仏教の教えによるものだそうです。仏教では、「死」は「成仏」、つまり仏に成るきっかけに過ぎないと考えられています。「死」は穢れではないと考えられているんですね。そのため、塩で清める必要もないということらしいです。

 

盛り塩の意味

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神棚には、米や水、お神酒と一緒に、盛り塩を供えるのが一般的です。塩を神聖なものとして考え、神棚に供えていることになります。

飲食店の店先に置く盛り塩は、神棚に供える盛り塩と意味が異なります。中国の皇帝の愛妾が、牛車のウシが塩につられて自宅の前で止まってくれるよう、願いを込めて塩を置いたという故事が元になっています。

飲食店の店先にある盛り塩は、お客様がたくさん来てほしいという願いを込めて置かれたものですね。

 

母なる海から採れる塩。海に囲まれた日本では、昔から塩は神聖なものであり、邪気や穢れを取り除いてくれる、命の象徴だったんですね。